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コロナ災禍 各地の式典縮小も悼む気持ち変わらず

マスク姿で白菊を手向け、手を合わせる遺族ら=11日午後2時50分ごろ、仙台市宮城野区の宮城野体育館

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東日本大震災から9年となった11日の追悼式は、延期や中止、時間の短縮、献花のみなど異例の形となった。遺族らは「犠牲者を悼む気持ちは変わらない」と各地で故人をしのんだ。
 式を延期した岩手県大槌町の平野公三町長は、地震発生時刻の午後2時46分に合わせて防災無線で追悼メッセージを放送し、町長室で1人黙とうした。「こんなに静かな3月11日は震災9年で初めて。ゆっくりした中で震災当日を思い出した」と語った。
 仙台市は宮城野区の宮城野体育館で献花するだけの形に変え、来場者は約160人と昨年に比べ3割以上減った。郡和子市長は「被災者の気持ちを考えると残念だが、ぎりぎりのところで決断した」と話した。
 式を中止して献花所を設けた塩釜市の佐藤光樹市長も「新型コロナウイルスの問題も含め、災禍と向き合う厳しさを改めて感じた」と述べた。
 参列できなかった遺族らは、思い思いの場所で手を合わせた。両親と姉、祖母を亡くした山形市の会社員山崎佳恵さん(41)は、宮城県女川町役場の慰霊碑に献花した。「追悼式は遺族が集まる特別な場所。毎年出席していたので今年もしてほしかったが、名前が刻まれた慰霊碑に献花の機会があるだけでもよかった」と涙を浮かべた。
 式が縮小された釜石市では遺族が追悼施設「釜石祈りのパーク」で犠牲者をしのんだ。父と兄夫婦を失った郡山市の下川原潔さん(79)は「やむを得ない。(感染が)早く収まってほしい」と話した。
 参列者を減らすなどの対応をしたいわき市の式では、母と当時10歳だった長女を亡くした学習塾経営鈴木貴さん(44)が遺族を代表してあいさつ。「娘が生きていれば今年で20歳。これまで数回、夢に出てきて『頑張れ』と支え続けてくれた。夢でもいいので母と娘に会いたい」と、悲しみが癒えることのない遺族の思いを代弁した。


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2020年03月12日木曜日


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