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閖上津波訴訟が和解 名取市、遺族へ遺憾の意表明

 東日本大震災の津波で家族4人が名取市閖上地区で死亡・行方不明になったのは市の防災行政無線の故障などが原因だとして、遺族が市に約6700万円の損害賠償を求めた訴訟は12日、仙台高裁で和解が成立した。震災の津波を巡る主な訴訟は全て終結した。
 和解内容は(1)市が遺族に、機器の故障で避難指示などを伝えられなかったことへの遺憾の意を示す(2)職員の防災意識向上を図り、避難訓練などの施策を講じる(3)震災の記憶と教訓を風化させないよう、4月開館予定の市震災復興伝承館で第三者検証委員会の報告書を展示する−など。和解金の支払いはない。
 仙台市内で弁護士と共に記者会見した遺族は「将来の命を守るための約束が和解条項に盛り込まれた点は成果だ」と語った。
 名取市の山田司郎市長は同市役所での取材に「遺族の心痛は察するに余りある。今後、一人でも多くの命を救う対策を講じたい」と述べた。市長は12日夜、市役所で面会した遺族に直接、遺憾の意を伝えた。
 2018年3月の仙台地裁判決は、地震の揺れで無線の親機に異物が入り、故障に気付かないまま避難指示の放送を繰り返したと認定。市の管理不備を認めた上で、故障は予見できなかったなどとして死亡との因果関係を否定し、遺族の請求を棄却した。
 控訴審で、遺族側は公の設置物の管理に不備があった場合の賠償責任を定める国家賠償法2条について「予見可能性の有無を問わず適用されるべきだ」などと主張した。
 昨年12月に結審し、高裁が和解を提案。今年2月の協議で遺族側、市側双方が和解に応じる意向を示し、名取市議会が今月6日、関連議案を可決した。


2020年03月13日金曜日


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