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困難乗り越え一歩 福島県で2人と1人の卒業式

2年生3人に祝福され、卒業証書を手に喜ぶ田村さん(左から2人目)、高倉さん(中央)
教師らに送られて卒業した渡部さん(左)

■避難先で義務教育 会津若松・大熊中 「素晴らしい出会いも」

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で会津若松市に避難する福島県大熊町の大熊中は13日、市内の仮設校舎で卒業式を行った。卒業生2人は原発事故直後の2011年4月、会津若松で再開した小学校に入学。避難先で9年間の義務教育を終えた。
 卒業したのは、田村真捺(まな)さん(15)と高倉紀佳さん(15)。町役場の会津若松移転後に市内で授業を再開した熊町小、大野小にそれぞれ入学した。
 新井田克生校長は「どんなに困難でも、前向きに考える人になってほしい」と激励。田村さんは「心が折れそうになっても学校で楽しく過ごせたのは皆さんのおかげ」と感謝した。
 古里で小中学校に通うことがなかった田村さんは式後「震災があったから素晴らしい出会いもあった」と強調。会津地方の高校に進学し、将来は動物に関わる仕事をしたいという。
 避難直後は幼稚園と小中3校に700人超の子どもが在籍。保護者の仕事などで転校が相次ぎ、大幅に減った。新年度、大熊中は新入学者ゼロの見込みで、新3年生の女子3人だけになる。町は22年度に町内での学校再開を目指す。
 式は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、来賓を減らすなど規模を縮小して実施した。

■初の卒業生 浪江・なみえ創成中 「町の人、後輩温かく」

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が一部解除された後、福島県浪江町に2018年新設された「なみえ創成中」で13日、初の卒業式が行われ、ただ一人の3年生渡部雅晴さん(15)が巣立った。
 式は新型コロナウイルスの感染拡大を受け在校生らの出席を見合わせ、教職員ら約50人で実施。卒業証書を手渡された渡部さんは別れの言葉で「まぶしいほどたくさんの思い出にあふれている。地元っていいなと思った」と述べた。
 渡部さんは、現在も帰還困難区域の大堀地区で小学校入学前に被災した。避難先の二本松市で再開した浪江中に入学し、創成中には昨春転入。3年間を1人で通した。
 渡部さんは式終了後「同級生がいないのはつらかったが、町の人や後輩が温かく接してくれた。高校に進学して友達をつくり、震災で被害に遭った浪江のことを伝えたい」と話した。
 町では震災前、小中9校に1700人以上が通学していた。避難先で再開するなどしたが、来年春には全て閉校や休校となる。町内はなみえ創成小・中だけとなる。


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2020年03月14日土曜日


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