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<非行少女のあした>虐待で心に傷、援交と盗み 自立し再生

マイさんが少年院で書いた日記には家族に対する複雑な思いがつづられている(写真の一部を加工しています)

 未成年で窃盗や覚醒剤使用などの罪を犯し、少年院での生活を経て更生に向けて歩む女性がいる。多くが幼少期に家族から虐待を受けた経験を持ち、成人した後も精神的、経済的に自立できずにもがいている。消せない過去や深い心の傷−。女子少年院の出院者らの証言を基に、彼女たちを希望へと導く道しるべを探る。
(報道部・大芳賀陽子)

 「泊めてくれる優しい男性いませんか。家賃は体で払います」
 仙台市内に住むマイさん(仮名、23歳)は中学生の頃から、会員制交流サイト(SNS)にこんな書き込みをするようになった。軽い気持ちで援助交際を持ち掛け、回を重ねるうちに相手の財布から繰り返し現金を盗むようになり、16歳で女子少年院に入った。
 マイさんには、他人にあまり口にしてこなかった心の傷がある。幼少期に両親から受けた虐待だ。
 未婚の母の元に生まれ、7歳の時に母親が結婚。1年後に妹が生まれると、両親の態度が一変した。父の命令で食事を一切用意してもらえず、夜中に冷蔵庫の残り物をこっそり食べたこともしばしばだった。「いないかのように扱われた」。暗い過去を振り返ると、不意に言葉に詰まる。
 中学に入ると、継父の暴力が始まった。何かにつけ「親の遺伝子が悪い」と言われ、たたかれた。寝室に入って来た父に体を触られたこともあった。母親や妹のためにと黙っていることしかできず、やるせなさから自傷行為を繰り返した。
 唯一の救いとなったのは、SNSで出会った男性たちだった。「『逃げたい、誰か泊めて』と書き込むと優しい言葉をくれた。心のよりどころだった」。友人に勧められ、お金を稼ぐため援助交際に手を染めた。
 青葉女子学園(仙台市若林区)の池田有里法務教官は「親に粗末に扱われてきた子は驚くほど自尊感情が低く、罪悪感が乏しい。自分の体を大切にできず、やり場のない怒りの矛先を自分に向けてしまう」と話す。入園者の多くに自傷行為の経験があり、拒過食症の元患者もいるという。
 マイさんも少年院で、親に虐待されたという多くの少女に出会った。「皆も自分も、もし周りの誰かに相談できていたら、少年院に入ることはなかったのかな」。マイさんは今でも、そんな思いにとらわれる時があるという。
 約1年で、マイさんは少年院を出た。この間、両親は一度も面会に来なかった。「新しい場所で自分の人生をつくっていきたい」と、マイさんは親元を離れて暮らすことを決めた。現在は飲食店でアルバイトをしながら、高卒認定試験に向けて勉強に励む毎日だ。
 「お金がたまったら、進学するのが目標。自分の経験を生かせる仕事に就きたい。ものすごく時間はかかるかもしれないけれど」
 真っすぐ前を見詰め、マイさんは力強く語った。

<メモ>法務省の犯罪白書によると、2018年に少年院に入った全国の14〜19歳の女子175人のうち、ネグレクトや身体的暴力など家族による虐待を受けたケースが5割を超え、男子の約1.5倍だった。入院の理由を非行名別に見ると、男子は窃盗や傷害、詐欺が多く、女子は覚醒剤使用や法に触れない非行行為の「ぐ犯」などが多かった。


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2020年03月17日火曜日


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