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地域再生の希望託す「復興の火」石巻・復興祈念公園に展示

聖火の前で記念撮影する家族連れ=20日午後4時30分ごろ、石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園

 世界の祭典を照らす火がかつて悲しみの極みにあった土地にともった。東京五輪の聖火が20日、「復興の火」として東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園に展示された。強風の中で燃え上がる火に、訪れた被災者らが地域再生の希望を託した。
 「あの時は嫌な火だったけど、今日は世界平和につながる火だ」。同市北村小の教員後藤清丈さん(44)は震災の記憶に復興の火を重ね合わせた。
 同公園がある南浜・門脇地区は震災の津波で約1800世帯あった住宅がのみ込まれた。大規模な火災も発生し、死者・行方不明者は計542人に上った。
 後藤さんは当時、市内の大街道小に勤務し、避難した校舎の上階から南浜方面が炎に包まれるのを見た。「頼むから私の方にまで来ないで」と必死に祈った。
 あれから9年。自国で開かれる祭典を前に「世界中の人に宮城に来てもらい、復興した姿を見てほしい」と期待した。
 石巻市の男性(65)は震災時、南浜地区で暮らしていた。自宅は津波で流され、残ったのは基礎だけ。復興の火は、かつて自宅があった場所近くにともった。男性は「赤々と燃えていた。これからに期待を感じた」と目を細めた。
 揺らめく炎を、子どもたちも特別な思いで見詰めた。「津波で亡くなった人たちの命を感じたような気がした」。渡波小1年の長井歩琉斗(あると)君(7)は犠牲者を思った。家庭や保育園で震災のことを学んだという。
 「石巻が幸せな街になったらいいな」。被災地から、復興を冠する東京五輪が動きだす。


2020年03月21日土曜日


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