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「復興の火」震災の傷癒やす光 JR仙台駅に5万5000人超が来場

夕暮れの中、「復興の火」を大勢の人が囲んだ=21日午後6時20分ごろ、JR仙台駅東口

 仙台に聖火が来た。21日に「復興の火」が展示されたのはJR仙台駅。東日本大震災直後、この場所は移動手段を求める帰宅困難者であふれた。9年がたち、今度は五輪への期待と関心が人々を引き寄せる。日が暮れても、行列が途切れることはなかった。
 宮城県亘理町のパート安田富美子さん(52)は2時間並んで聖火にたどり着いた。「五輪という巨大イベントに参加した気分。待ち時間ですら楽しかった」。JR常磐線の全線開通に続く古里の明るいニュースに笑顔が広がった。
 あの日、閉鎖された駅周辺に1万人を超える人が押し寄せ、不安な夜を過ごした。停電で真っ暗だった街は今、億万の光に満ちる。復興の火の来場者は「5万5000人以上」(宮城県の担当者)に上った。
 仙台市泉区の主婦野村俊子さん(80)は帰宅困難な状況を体験した一人。「当日は(市中心部の)一番町でランチをし、結局歩いて(市北部の)泉区まで帰った。飲み水を確保するため市内を探し回った。仙台駅で今、聖火の温かい炎を見られて満足です」
 宮城野区の東北福祉大2年宮沢千陽さん(20)は駅構内のケーキ店でアルバイトをしている。新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から人通りが減っていただけに、「安全に五輪を開催してほしい」と願う。
 昨年12月、駅構内にかまぼこ販売店を出店した宮城県南三陸町の会社社長及川善祐さん(66)はしみじみと炎に見入った。復興という言葉に、これまでの自分の歩みが自然と重なる。
 「自宅も工場も津波で失ったが、何とか商売を続けてこられた。五輪を前に仙台駅に店を出せた。9年前を考えれば信じられないこと」
 午後7時、展示は予定通りの時刻に終わった。並んでいた人たちからは拍手が起こった。聖火は22日、岩手に移る。


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2020年03月22日日曜日


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