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<うみの杜で働く>新人広報・板橋瑠花さん 流行意識し企画を発信 

和田さん(左)の手ほどきを受け、報道機関向け資料を作成する板橋さん

 仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区)は7月、2015年のオープンから5年を迎える。同年閉館したマリンピア松島水族館(宮城県松島町)の後継として、仙台港背後地に誕生した東北最大の水族館は、昨夏に来館者数500万人を突破した。三陸の海の魅力発信に知恵を絞り、希少動物の繁殖や健康管理に心を砕くスタッフの奮闘を追った。
(報道部・三浦夏子)

 ラグビー・ワールドカップの開幕が迫り、話題が沸騰しつつあった昨年8月。仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区)の新入社員で広報担当の板橋瑠花さん(23)は、上司がつぶやくのを耳にした。
 「ラグビー、盛り上がってきたなあ」。ニュースを見ていた副館長の和田淳太さん(48)の一言に反応し「水族館のイベントにつなげられないか」と知恵を絞った。横浜・八景島シーパラダイス(横浜市)で新人研修を終え、うみの杜に着任して2カ月目だった。
 「ラグビーボールで技ができるかもしれないよ」。アザラシ担当の飼育員から提案があり、一緒に企画を練った。見せ方や時間をどうするか。あれこれ悩み、初めて大きな仕事を任されるという結果につながった。
 日本代表が初戦を突破した翌日に始めた「あざらしラグビー」は、バイカルアザラシが楕円(だえん)球と戯れ「かわいい」と評判を呼んだ。
 史上初の8強入りを決めた直後は、ゴマフアザラシが水中でボールをつかむ企画を開始。「ハイパントキャッチ」などラグビー用語を使って広報資料を作り、メディアにアピールした。
 時流に乗った作戦は奏功し、ニュースは大手検索サイトのトップページを飾った。みんなの協力で実現した企画が日本中に発信されたことがうれしくて、思わず画面を写真に撮った。帰宅後、母に自慢した。
 宮城県気仙沼市出身。水族館好きの母と一緒に各地の施設を回った。大学時代も休日は水族館。いつしか、働きたいと思うようになった。
 飼育員の道もあったが、大学3年で受けた水族館の実習が転機になった。イベントの企画に関わり、運営に興味を持った。入社時は専門職ではなく総合職を希望。広報に配属された。
 余暇の過ごし方が多様化し、水族館は来館者の獲得に苦慮する。うみの杜も開館1年目は188万人を記録したが、2年目以降は100万人前後と伸び悩む。
 最近は会員制交流サイト(SNS)で話題に火が付くことが多い。昨年は誕生間もないオウサマペンギンが「大きすぎる赤ちゃん」と有名になった。来館者が動画をツイッターに投稿。和田さんがリツイート(転載)し、一気に拡散した。
 広報は瞬発力が問われる。学ぶことは多い。「アンテナを高くし、みんなが楽しめるイベントをひねり出す」。感動を呼ぶ話題を求め、館内を日々歩く。

[オウサマペンギン]南大西洋やインド洋に生息し、首の黄色い模様が特徴。仙台うみの杜水族館で2018年夏に誕生した雄は、子どもながら体長90センチと成鳥を上回る大きさに育ち、大きな話題を集めた。19年7月の愛称募集には58通りの候補が寄せられ「けやき」に決まった。


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2020年03月21日土曜日


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