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第1弾は「ダキシメテフタバ」 岐阜のタオル会社、運命の糸手繰り双葉へ

「ダキシメテフタバ」のタオルマフラーを首に巻き、JR双葉駅前に立つ浅野さん(右)と宏介さん=福島県双葉町

 撚糸(ねんし)加工・タオル販売の浅野撚糸(岐阜県)は、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が一部解除された福島県双葉町に工場を建設する。稼働目標は2022年7月。被害が甚大で今月4日に初めて避難解除されたばかりの地域での挑戦に、同社は「双葉だから世界に発信できる。町を元気にする」と力を込める。
 JR常磐線が9年ぶりに全線再開した14日、町内の双葉駅で記念品として浅野撚糸が開発したハンカチが利用客に配られた。4月発売のタオルの新シリーズ「ダキシメテフタバ」を一足早く提供した。
 同社独自開発の特殊撚糸を使って展開するタオルブランド「エアーかおる」は累計販売約900万枚を誇る。高吸収性や柔軟性、軽さが特徴。撚糸製造の新工場を、町が整備中の中野地区復興産業拠点の2.8ヘクタール区画を借りて建設する。
 約30人の従業員を地元で採用する計画。タオル製造は県外のメーカーに担ってもらう。新工場には小売店舗を併設し、交流人口を呼び込む発信拠点にする。
 「進出は運命のようだと感じた」と、社長の浅野雅己さん(59)は振り返る。
 きっかけは昨年5月、福島県の浜通り地方に産業集積を進める「福島イノベーション・コースト構想」の企業誘致ツアーに幹部が参加したことだった。
 7月、町側からの進出要請に応じて浅野さんも現地を訪れ、「無人の町」に衝撃を受けた。「何千人という住民の暮らしがあったことを想像できた」
 一方、説明に当たる伊沢史朗町長ら町関係者は明るく前向きだった。「この人たちとなら組める」。本社工場に次ぐ第2の工場建設を決断した。
 福島大教育学部卒で福島は「第二の故郷」だが、原発事故後は義援金を送ることしかできず、もんもんとしていた。
 進出の誘いに「どこかほっとした」と言う。長男の専務宏介さん(32)ら経営陣も「一番厳しい町だから可能性がある。世界でも例のない事業」と賛同してくれた。
 ダキシメテフタバは町を発信する商品の第1弾。町のイメージカラーである緑など3色を用意する。バスタオルなどに加えマフラーを新たに投入する。
 「『三方よし』の『自分よし』『相手よし』は可能だとしても『世間よし』は難しい。双葉ではそれができる」と浅野さん。「しっかり利益を出して雇用を生み、双葉を元気にする」と語る。


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2020年03月22日日曜日


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