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再生の願い炎に重ねる 岩手・大船渡で「復興の火」展示

再生が進む市街地に展示された「復興の火」(左手前)。一目見ようと大勢の市民が集まった=23日午前10時10分ごろ、岩手県大船渡市のおおふなぽーと

 2020年東京五輪の聖火を東日本大震災の被災地でともす「復興の火」の展示が23日、岩手県大船渡市の防災観光交流センター多目的広場であった。新型コロナウイルスの感染拡大で五輪の開催が危ぶまれる中、被災者らは再生に向かう街の思いを炎に重ね合わせた。
 午前10時ごろ、集まった約150人が震災の犠牲者に黙とうをささげ、戸田公明市長がランタンの火だねからトーチに点火。会場から歓声が湧いた。震災直前の11年2月に生まれた大船渡小3年の佐藤唯人君(9)は「桜の形のトーチに火が入ったところがきれいだった」と目を輝かせた。
 市内の看護師千葉修子さん(57)は「迫力に感激した。震災から9年たち、今なお困難に立ち向かい続ける人が聖火に勇気をもらえるといい」と話した。
 復興の火は24、25の両日に福島県で展示される。

◎「元気な姿を全国に」 浸水被災地に建物続々と

 聖火が展示された大船渡市大船渡町の市街地は、震災で甚大な被害を受けた。同市の平山睦子さん(64)はこの日が誕生日。聖火と一緒に写真に収まり、「うれしい」と喜んだ。
 夫と営んでいたクリーニング店があった市街地は、造成されてホテルや商業施設などが次々に立ち並ぶ。店を再開せず、災害公営住宅に入居する前に夫を亡くした平山さん。「浸水した街がここまで元気になったことを全国のみなさんに届けられた」と語った。
 会場には、地元の出稼ぎ大工集団「気仙大工」の技を伝える建物の骨組みが登場。復興支援の感謝と東京五輪の成功を願う「上棟式」が開催された。
 有志の一人で市内の建築設計事務所代表の鈴木昭司さん(57)は、住宅や店舗の再建に携わってきた。「(空き地に)どんどん建物ができ、街並みが復興してほしい」と期待した。
 「五輪は開催するのだろうか」。菓子店「菓匠高瀬」店長の高橋照直さん(49)は話し、黙々と和菓子作りを続けた。商業施設内に店を再建して約3年。「復興需要が落ち着き、今後の売り上げが気掛かり。新型コロナも早く終息してほしい」と不安を口にした。


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2020年03月24日火曜日


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