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オーバーシュート、ロックダウン… 新型コロナで片仮名乱発「分かりづらい」

 「日本の行政機関が使う片仮名表記の英語は適切なのか」との声が「読者とともに 特別報道室」に寄せられた。新型コロナウイルス感染症が世界的な拡大を見せる中、連日、聞き慣れない言葉が飛び交う。「分かりづらい」という意見に加え、本来の意味から外れた使用に対して違和感を唱える人もいる。
 パンデミック(世界的大流行)、クラスター(感染者集団)、オーバーシュート(爆発的患者急増)、ロックダウン(都市封鎖)…。
 新型コロナを巡り、行政機関の発表や記者会見で使用されている言葉だ。いかにも医学的な専門用語に聞こえるが、実は全てが専門用語というわけではない。
 特に「オーバーシュート」の元々の意味は「行き過ぎる」「(的を)外す」「超過する」など。金融市場や統計で用いられることが多く「爆発的な感染者急増」といった語義はない。
 専門家はどう見ているのか。東北大病院感染管理室長の徳田浩一特命教授(感染制御学)は「オーバーシュートなどは医学的にはなじみがない」とし、「専門家会議などは、国民に危機感を持ってもらうためにあえて使ったのではないか」と推測する。
 英語圏で暮らす人からも異論が出ている。仙台市で高校生活を送ったニューヨーク州弁護士の旦英夫さんは、在米40年以上。「新型コロナの英語圏の報道でクラスターやロックダウンは使うが、オーバーシュートを感染爆発の意味で使っても通じないだろう」と指摘する。
 片仮名の言葉を多用する状況に、閣僚からも疑問の声が上がっている。河野太郎防衛相は24日の記者会見で「日本語で言えることをわざわざ片仮名で言う必要があるのか。分かりにくいという声が出ている」と発言した。菅義偉官房長官も「可能な限り分かりやすく丁寧な説明に努めたい」と見直す考えを示している。
 科学コミュニケーションを専門とする東北大東北メディカル・メガバンク機構の長神風二特任教授は「一般市民にとって片仮名表記の用語が分かりにくいのは事実だ」と強調。「できるだけ日本語に置き換え、状況に応じて表現を変えていく柔軟さも必要ではないか」と提案した。
(佐藤素子、菊池春子)


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2020年03月29日日曜日


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