
国産大豆で高品質化 3種使った豆腐開発 仙台・菅野食品
東日本大震災で被災した仙台市宮城野区の豆腐製造販売「菅野食品」は国産大豆3種を使った「吟選 高砂とうふ」(230グラム、422円)を開発し、26日から青葉区の藤崎本館地下2階で販売している。健康志向が高まる中、高付加価値の商品で再生を目指す。
新商品は木綿と絹の2種類。大豆は県産のミヤギシロメを中心に、山形県産の秘伝豆、北海道産のオオソデフリを混ぜた。ミヤギシロメだけを使用した既存の「高砂とうふ」と比べ、大豆本来の味わいが際立つ。
沿岸から約1.5キロ離れた宮城野区蒲生1丁目の本社工場は津波で被災した。4カ月後の復旧までに販路を失い、一時は売り上げが半減。みやぎ産業振興機構、仙台商工会議所の経営支援もあり、スモーク豆腐など新商品を開発し、販路を広げている。
2月下旬、市内のレストランで開いた新商品発表会では、ババロア、キッシュといった豆腐の創作料理のコースを約20人が楽しんだ。青葉区の早坂祥子さん(62)は「大豆の味が濃くて驚いた。デザートにも合うし、豆腐の可能性の大きさを感じた」と話した。
同社は昨年、創業150年の節目を迎えた。周辺にあった豆腐屋は次々と廃業した。菅野叔枝社長(63)は「豆腐屋はもうからないのが当たり前だった。従業員が普通に生活できるような商品づくりをしていきたい」と意気込む。
吟選と同時に、桜やトマト、とうもろこしといった変わり種を使った「四季の味わい」シリーズも商品を順次売り出す。
2020年03月31日火曜日