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変わる宮城のインターン 教育前提、結果出し充実

マイムケア長町で打ち合わせをする林所長(右から2人目)と石浦さん(左端)ら=2月

 東北最大の都市、仙台市には各地から学生が集まる一方、就職を機に首都圏へと流出する傾向が顕著だ。選ばれない地元企業、選ぶ理由を見つけられない若者−。学生と地元企業が一緒に悩み、行動し、成長する「課題解決型」のインターンシップは、そんな擦れ違いの関係を変えるかもしれない。宮城県内の芽吹きの現場をのぞき見た。
(報道部・天艸央子)
 「学生は労働をしに来るのではありません」
 一般社団法人ワカツク(仙台市)の渡辺一馬代表理事(42)が力を込める。2005年から、自社事業として課題解決型インターンの支援を続ける。「募集時と異なるテーマを提示しないこと」「教育的効果を狙うこと」。インターンシップの事前研修で、実施企業に呼び掛ける。
 「インターンは労働との境界線がグレーといわれてきた」と渡辺さん。17年、石巻市の企業でトラブルがあった。学生は商品開発の体験を目的にインターンに参加したが、実際は資料作成や商品販売などに従事させられた。労基署から是正勧告を受けた企業は「認識の違いがあった」と、賃金計約28万円を支払った。
 職業体験か、労働か。インターンには賃金が必要との意見もある。「成果物が事業所に帰属する以上、対価を払うべきだ」。若者の労働問題に取り組むNPO法人POSSE仙台支部の森進生代表(30)は指摘する。
 労働への知識が少ない学生を利用する「ブラックインターン」であってはならない−。ワカツクの渡辺さんは「企業の指揮命令で労働をさせる、使用従属関係がないことがポイントだ」と強調する。
 仙台市太白区の介護施設「マイムケア長町」に2月、復興庁主催のインターンシップに参加する3人の学生が北海道、京都、兵庫から集まった。
 マイムケア長町は、商店街に面した地域交流スペースに駄菓子屋を設けるなど、認知症の利用者と地域との触れ合いを重視する。林久美所長(47)は、3週間に及ぶ初めてのインターンを前に、ワカツクの研修にも参加。3人が取り組むテーマに「情報発信力の向上」を掲げた。
 3人は、交流スペースで毎月開く無料イベントを工夫しようと知恵を絞った。施設の認知度把握、広報活動、イベント企画に役割を分担し、近隣住民へのアンケートや通行人への呼び掛けを実施した。
 施設職員とも協力して開いた化学実験教室には、小学生や家族連れ70人以上が来場した。林所長は「いつもは10人程度。学生たちの自主的な企画力、実行力に驚いた」と目を細める。
 北海道教育大教育学部2年の石浦真依さん(20)は広報を担い、会員制交流サイト(SNS)を使った施設の情報発信を行った。
 「高齢者や職員、小学生など幅広い年代と交流し、教師になる以外の選択肢が広がった。思い描いた通りのインターンだった」
 「対価」はない。が、自ら考え、実行し、結果を出すことで得た、充実の表情があった。


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2020年03月25日水曜日


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