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変わる宮城のインターン 大学主導 出合い橋渡し

昨年4月に入社した黒沢さん(右から3人目)。東北学院大での企業説明会で学生にPRする

 東北最大の都市、仙台市には各地から学生が集まる一方、就職を機に首都圏へと流出する傾向が顕著だ。選ばれない地元企業、選ぶ理由を見つけられない若者−。学生と地元企業が一緒に悩み、行動し、成長する「課題解決型」のインターンシップは、そんな擦れ違いの関係を変えるかもしれない。宮城県内の芽吹きの現場をのぞき見た。
(報道部・天艸央子)
 文具専門店を展開する「オフィスベンダー」(仙台市)で2019年8月、東北学院大の授業「地域課題演習」が開かれた。夏季休暇の3週間を活用して企業の課題解決に取り組む。いわば「単位が認定されるインターンシップ」だ。
 集まった学生6人が白木二郎社長(41)から託されたのは、来店者数を増やす企画の立案。学生は最初、会員制交流サイト(SNS)を使って学割を周知しようと考えた。ただ、来店者は小学生や年配者など、SNSになじみが薄い世代が多数を占める。
 そこで学生は、あえてアナログの力に注目。「学生証提示で5%OFF」と印字した大きな広告を、小中学校の通学路に面した窓や柵に掲示する案を導き出した。翌9月、西中田店(太白区)に来店した学生は前年同月比20%増、売り上げも34%増。その後も10〜15%増で推移する目覚ましい効果を上げた。
 白木社長は「思いがけない発想で状況が改善し、若者の考え方にも触れられた」と実感する。
 「地域課題演習」は15年度に始まった。地域の雇用創出と学卒者の地元定着の促進を掲げて国が進める地方創生事業を活用した取り組みだ。
 しかし、東北学院大の松崎光弘特任教授(高等教育)は「ただ地元就職率を上げるだけではミスマッチを招く」と強調する。大学が主体的に地域と関わることで企業と学生の接点を増やす、長期的な仕組みづくりの重要性を説く。
 採石業の東京石灰工業丸森工場(宮城県丸森町)は18年度まで5年間、地元大学に求人票を出してきたが、応募はゼロ。知名度の低さ、仕事内容の伝わりにくさを痛感していた。
 変化のきっかけは、東北学院大が17年に実施したキャリアセミナーだった。県内企業2社と学生10人程度が少人数でじっくり話し合い、理解を深めるイベントが実を結ぶ。19年4月、セミナーに参加した黒沢樹さん(23)を待望の新入社員として迎えたのだ。
 黒沢さんは「今まで知らなかった企業に出合えた」と笑顔を見せ、同社の板橋和彦工場長(52)は「培った知識や技術を全て教えたい」と意気込む。
 大学主導の事業開始から5年。結果は短期的な数字では測れない。インターンのほか小規模セミナーや合同説明会の開催といった接点づくりを進めてきた松崎特任教授は言う。
 「学生は自らの頭で考えて就職活動に臨み、地元企業は能力ある学生に選ばれる。大学が目指すのは、両者の成長だ」
 若者と企業を結ぶ。産学連携の地道な種まきが続く。


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2020年04月09日木曜日


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