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「自力」で住まい再建4割 震災被災3県

復興まちづくり事業がほぼ完了し、住まいの再建が進む宮城県名取市閖上地区

 東日本大震災の岩手、宮城、福島3県の被災世帯の約4割が、自ら宅地や民間賃貸物件を見つけて住まいを再建したと推察されることが、被災者生活再建支援金の支給実績などから分かった。行政が復興まちづくり事業で供給した宅地(復興宅地)や災害公営住宅の公的整備を利用しなかった。本来受給できる支援金の未申請世帯もかなりの数に上るとみられる。
(報道部・高橋鉄男)

 復興庁と3県によると、復興宅地は防災集団移転促進事業や土地区画整理事業で造成され、1月末時点で1万8053戸が完成。災害公営住宅は東京電力福島第1原発事故の帰還者向けも含め2万9641戸が完成し、整備率は各99%に上る。
  ● 7万世帯
 再建手法は、2種類ある支援金のうち住まいの再建方法に応じて上乗せされる加算支援金の支給実績=表=から分かる。内訳は建設・購入6万4407件、補修5万4547件、賃貸入居2万1381件。入居すると加算金対象から外れる災害公営住宅の戸数約3万を合わせると、およそ17万世帯が再建を終えた計算だ。
 この17万世帯から、復興宅地と災害公営住宅の居住者(最大4万7000世帯)と補修(約5万5000)を差し引いたおよそ7万世帯が、元の宅地や自ら宅地・民間賃貸物件を見つけて単独再建したことが推察できる。再建した17万世帯全体の4割に上る。
 被災宅地の多くが災害危険区域になって住宅建築を制限されたことから、地元以外に移り住むことになり人口流出にもつながった。
  ● 三者三様
 住宅再建に詳しい遠州尋美・元大阪経済大教授によると、再建手法は東北3県ごとに特徴がみられる。
 岩手は復興宅地に建設・購入したケースが多い。リアス海岸沿いの宅地が災害危険区域となり、民間賃貸物件も少ないため高台への集団移転などに頼ったとみられる。
 平野部が広く浸水した宮城は建設・購入より補修が多いほか、民間賃貸物件への入居が災害公営住宅を上回る。仙台など都市部に多数の物件がある上、震災で賃貸物件が「みなし仮設住宅」に認められ、継続して住んだ世帯が多いことも影響している。
 福島は原発事故に伴う長期避難世帯も支援金の受給対象になった。建設・購入に占める復興宅地の比率は約1割。避難生活が長引く中、地元以外で住宅再建している傾向がうかがえる。
  ● 延長最後
 一方、自宅を補修しても制度を知らないなど未申請世帯も少なくない。
 宮城県によると、加算金の未申請世帯は世帯主死亡などのケースを除いて昨年末時点、仙台市など10市町で計6498世帯。岩手県は昨年6月時点で9市町村計1935世帯。福島県は把握していない。
 岩手県は加算金の申請期限を7市町村で来年4月10日まで1年延長。福島県は基礎支援金が13市町村、加算金は19市町村で延長する。宮城県は加算金を9市町で延長したが「2020年度は復興計画の最終年度に当たり、延長は原則として今回が最後」(消防課)との姿勢だ。
 遠州氏は「被災者が支援から取り残されることがないよう、戸別訪問を徹底して周知や申請を働き掛けることが必要だ」と訴える。

[被災者生活再建支援金]自然災害による住宅の被害状況を分類し、最大300万円を支給する。全壊、大規模半壊、長期避難、半壊で解体した場合に上限100万円を支給する基礎支援金と、再建手法(建設・購入、補修、賃貸)に応じて最大200万円を支払う加算支援金の2種類がある。半壊以下は原則対象外で、全国知事会などが対象拡大を国に要望している。


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2020年04月14日火曜日


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