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聴覚障害者らスマホで通報 「Net119」導入拡大

 聴覚や言語機能に障害がある人が、スマートフォンの画面を操作するだけで119番通報できる「Net119緊急通報システム」の導入が東北で進んでいる。本年度末には6県の計71消防本部の7割が運用を始める見込み。台風19号豪雨など災害が多発する中、支援関係者は「災害時の救助要請にも役立ち、万が一の安心度が高まる」と期待する。(報道部・東野滋)
 総務省消防庁がまとめた今年1月1日現在の県別の導入状況は表の通り。
 仙台市消防局は昨年10月1日に運用を開始し、現在約90人が登録している。聴覚障害者から「高齢の母親が転倒して動けなくなった」という通報が1件寄せられたという。
 Net119はスマホなどの衛星利用測位システム(GPS)機能を使い、通報と同時に位置を把握できるのが強みだ。市消防局は「土地勘のない旅先で体調が悪くなっても居場所が瞬時に分かる。管轄する消防本部に情報を伝えることができ、迅速な救急活動が可能になる」と強調する。
 宮城県聴覚障害者情報センター(みみサポみやぎ)によると、聴覚障害者の通報手段は電子メールやファクスがある。ただメールは文字入力に時間がかかり、ファクスは外出先で通報できないのが難点だ。
 センターの庄子陽子施設事業課長は「近所の人に電話を頼むにも深夜や早朝は遠慮してしまう。Net119なら簡単な操作で素早く正確に通報でき、チャット機能で詳しい状況も伝えられる」と新システムの広がりを歓迎する。
 聴覚障害者にスマホが普及していることも利用を後押しする。無料通信アプリのテレビ電話を使えば手話による会話ができるため、扱いに慣れている人が多いという。
 消防庁によると、Net119を導入済みの消防本部は本年度中に、全国726本部のうち569本部(78.4%)となる見通し。防災情報室は「100%を目指すとともに、複数の事業者が提供しているシステムの相互接続も進める。将来的に全国どこにいても現地の消防本部に直接通報が届き、即応できるようになる」としている。

[Net119緊急通報システム]スマートフォンや携帯電話で専用ウェブサイトにアクセスし、画面上で通報内容を「救急」「火事」、現在地を「自宅」「外出先」などから選び、119番通報する。文字で会話するチャット機能もあり、けがの程度など詳しい状況を伝えられる。利用には名前や住所の事前登録が必要。2017年度から全国の消防本部で本格的に導入が始まった。


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2020年04月15日水曜日


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