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夕方の陽性判明で急転、午後9時40分緊急会見 仙台市の始業式・入学式延期

入学式の次第が掲示され、児童を待つばかりだった宮城野小体育館=15日午前10時10分ごろ、仙台市宮城野区

 予定通り実施か、それとも延期か。市政トップの判断はぎりぎりまで揺れた。
 仙台市立小中高校の始業式と入学式の延期を14日夜に急きょ発表するまで、郡和子市長は新年度の船出と新型コロナウイルス感染防止の間で悩んだ。13日に表明した「予定通り」をわずか1日で方針転換。市長発言を時系列でたどり、混乱を招いた政治判断の経過を検証した。
 「市内で初めて小学生の感染が確認され、全市的な対応が必要になった。始業式と入学式は、学級担任との関係づくりや学級づくりの面で欠かせない」
 13日午後1時半、市議会災害対策会議。郡市長は15日に予定した授業再開を5月7日に再延期する必要性を説いた上で、新年度のスタートを象徴する行事は「予定通り実施する」と明言した。
 終了後の午後3時すぎ、報道陣の取材に「子どもたちに新年度のスタートを実感してもらう機会をつくらなければならない」と強調。始業式と入学式の実施に当たり「子どもたちの安心安全を第一に考え、距離を取り、校内の消毒、換気を教職員が全力でやる」との方針を示した。
 踏み込んだ対策を講じる可能性も、わずかに残していた。12日に児童4人の感染が判明したことを念頭に「子どもたちの中に感染が広がったことを重く受け止めないといけない。行動歴を調査した上で、対応すべきこともあるかもしれない」と語っていた。
 市教委幹部は「12日の段階で一つステージが上がったという認識だった」と明かした。だが、始業式と入学式を予定通り実施する方針に変わりはなかった。
 流れが大きく変わったのは14日夕。市はクラスターと認めたいずみ保育園、英会話教室「ASTER向陽台校」(泉区)など4施設の園児、受講生、職員のうち、無症状の108人のPCR検査を始め、新たに男子児童1人の陽性が確認された。
 市役所3階の市長室には佐々木洋教育長、下川寛子保健所長、危機管理室の幹部職員ら10人程度が集結。始業式と入学式の取り扱いを巡り、午後6時ごろから2時間以上話し合った。
 ある幹部職員は「感染拡大防止は行政の使命。一方で児童生徒の学習、生活リズムをどうするかも自治体の大きな課題だった。二つがせめぎ合う中で調整点を探り、最後は市長が延期を決断した」と明かす。
 午後9時40分、郡市長は佐々木教育長と緊急記者会見に臨んだ。最初のクラスター、青葉区の英国風パブで無症状者の感染がなかったことに触れつつ「今回、無症状の人から陽性が出るのは想定しにくかった。重く受け止めないといけないと思い、このような判断に至った」と釈明した。
 同じ時間帯、市役所上杉分庁舎では市長の決断を聞いた市教委の職員が学校長への緊急連絡に追われた。ニュース速報や記者会見のインターネット配信で知った保護者から「報道は本当か」「夜中に急に方針が変わるなんておかしい」など問い合わせが殺到し、日付が変わるころまで電話が鳴り響いた。


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2020年04月16日木曜日


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