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緊急事態宣言拡大 東北の各業界、懸命対応

客を待つ車があふれたタクシー乗り場=17日午前、JR仙台駅前
休業中も三味線の稽古に励む紫乃さん=17日午後3時ごろ、秋田市

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い全国に緊急事態宣言が拡大されて一夜明けた17日、客足がさらに遠のいた東北の観光地や飲食店からは深いため息が漏れた。生活用品を求める買い物客の対応に追われる店員や、早期終息を信じて稽古に励む芸者の姿もあった。

◎タクシー 乗客いない/仙台

 「この商売を40年間やっているが、ここまで客がいないのは初めて」。仙台市青葉区のJR北仙台駅前で客待ちをしていたタクシー運転手斎清彦さん(69)=富谷市=がため息をつく。
 東京都が週末の外出自粛を呼び掛けた先月下旬から乗客が減り始めた。今月の売り上げは前年に比べ半分以下となる見通し。宣言の対象拡大で状況はさらに厳しくなりそうで、「この先の生活が不安だ」とつぶやく。
 JR仙台駅周辺も状況は同じ。運転手の一人は「どこに行っても乗客がいない」と嘆いた。

◎薬局 ビニール幕設置/青森

 青森市の「ハッピードラッグ新城店」はレジの前にしぶきを防ぐビニールを設置するなど、来客のさらなる増加に備えた。
 客が距離を空けて並ぶよう1メートル間隔の目印を床に貼り、店員には手の消毒徹底を改めて呼び掛けた。
 慢性的なマスク不足が続く。客が殺到しないよう開店と同時の販売はやめ、入荷があり次第、店頭に並べる方式に改めた。
 柏木優汰店長(25)は「マスクや消毒液はいつ何個入ってくるか全然分からない。問い合わせはとても多いが答えようがない」と困り顔だった。

◎スーパー 対策変えず/盛岡

 全国で唯一、感染者が確認されていない岩手県。盛岡市長橋町のスーパー「ジョイス長橋台店」の吉田隆店長(53)は「宣言の全国拡大の影響か、きょうは買い物客が2割ほど増えた。一部のインスタントラーメンが売り切れ、レトルトカレーなど保存できる食品がよく売れている」と説明する。
 マスクの欠品は相変わらずで、ティッシュペーパーがよく売れている。他の商品に大きな変化はなく、「店として特別な対策は取らない。客数の変化を見ながら今後の対応を考えるつもりだ」と語る。

◎芸者 稽古は続けたい/秋田

 「お客さまに見てもらえないのは残念ですが、稽古は休まず続けたい」。昨年、秋田市の花柳界で約40年ぶりに舞妓(まいこ)から芸者になった紫乃(しの)さんが打ち明ける。同市の歓楽街・川反は営業自粛や時間短縮で次々と街の明かりが消えている。舞妓の派遣・育成を手掛ける会社「せん」は9日から休業に入った。
 2人の舞妓と共に自主的に出社し、踊りなどの芸を磨く。17日も三味線を手に自分と向き合った。「課題の克服に力を入れ、いつでもお客さまの前で披露できるよう準備したい」と、にぎわいが戻る日を待つ。

◎そば店 持ち帰り活路/山形

 山形市中心部に2店を構える老舗そば店「そば処庄司屋」は、前日に続き時短営業中。庄司信彦社長(45)は「県内外からの出張、観光の客足が減るのは仕方がない」と受け止める。
 巣ごもりの傾向が強まり、10日にテークアウトを始めた。もりそばや、天ぷらが付いた3人前の家族セットなど1日計約40件の注文が舞い込む。17日も従業員が忙しく対応した。
 一方で、店を応援するそば好きの地元住民も多い。「閉店すれば簡単だが従業員の生活もある。状況に合わせ柔軟に対応したい」と前を向く。

◎温泉宿 震災より深刻/福島

 福島市西部の山あいにたたずむ土湯温泉。「初めから全国に宣言が出ていれば、感染拡大を食い止められたかも」。土湯温泉おかみ美湯の会会長で旅館「山水荘」専務の渡辺いづみさん(59)は悔やむ。
 14日までの2カ月半で、宿泊予約のキャンセルは6000人を超えた。今月は予約のない12日間を既に休館にした。
 自粛が長引けば廃業せざるを得ない同業者も出てくる。「具体的な補償がなければ、旅館や観光業はいずれ立ち行かなくなる。東日本大震災より状況は深刻だ」と不安を隠さない。

客足が遠のいた土湯温泉街。自粛が長引けば、廃業の危機に直面する旅館もあるという=17日午後4時ごろ、福島市

関連ページ: 広域 経済 新型コロナ

2020年04月18日土曜日


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