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日本・千島海溝地震のM9級地震津波想定 気仙沼15m、石巻は13m

 三陸沖など日本海溝・千島海溝沿いでマグニチュード(M)9クラスの巨大地震が起きた場合、岩手県と北海道で最大30メートル近い津波が到達するとの想定を21日、内閣府の有識者会議が公表した。宮城県では気仙沼15.3メートル、石巻13.3メートルなど4市町で10メートルを超える。発生の確率については「切迫した状況」と説明した。
 想定される津波の高さは図の通り。最悪の事態を想定し、東日本大震災後に整備した防潮堤は全て破壊されるとの前提で推計。復興事業でかさ上げをした沿岸部が浸水する恐れがある。
 最も高いのは宮古市の29.7メートルで、岩手県内では局所的に震災の津波高を上回る。かさ上げした沿岸部や防災集団移転用地が一部浸水する想定だが、詳しい浸水深や範囲は県の要請で公表を見送った。内閣府の担当者は「復興まちづくりへの影響が大きいと判断した」と説明する。
 青森県は沿岸22市町村全てで震災の津波高を超える。八戸市の26.1メートルが最も高く、地震発生から39分で八戸港に10.3メートルの第1波が押し寄せる。太平洋側の市町村にはいずれも10メートル以上の津波が到達し、陸奥湾内の青森市にも最大5.4メートルの津波が予想される。
 宮城県は気仙沼、石巻両市のほか、南三陸町12.6メートル、女川町11.7メートルなど。石巻、塩釜、松島3市町の役場が浸水する。震災前の地形データを用いたため、防災集団移転用地などへの影響は反映されていない。
 福島県は南相馬市の19.0メートルが最大。双葉町の東京電力福島第1原発付近は津波高が13.7メートルに達する見込みだが、原発構内の詳しいシミュレーション結果は現時点で公表しない方針。
 日本海溝・千島海溝では過去に繰り返し巨大地震が発生。有識者会議は震災後の2015年、津波高や浸水範囲の予測見直しに着手した。想定の対象は北海道から千葉までの太平洋に面する7道県で、北海道−岩手間の過去6000年の津波堆積物を調査した。
 内閣府は21日、人的・物的被害について検討する作業部会を設置。武田良太防災担当相は記者会見で「堤防による防御が難しく、避難を軸とした総合的な対策をしたい」と述べた。

◎地域リスク認識し対策を

 有識者会議メンバーの松沢暢・東北大教授(地震学)の話 津波が巨大化したメカニズムなど東日本大震災で得られた知見を生かし、想定をまとめた。潮位が低い時間帯に起きた震災とは異なり、満潮という最悪の条件で津波をシミュレーションしたのも特徴だ。防潮堤は全て破壊される前提だが、避難の時間が稼げる。自治体も住民も地域のリスクを認識し、対策に取り組むことが重要だ。


2020年04月22日水曜日


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