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感染者居住地 東北各県で公表基準に差

新型コロナウイルス感染者に関する東北各県の発表資料。居住地の公表範囲が異なる

 新型コロナウイルス感染者の居住地の公表を巡り、東北各県で対応に差が生じている。宮城、山形、福島は市町村を明らかにし、感染者ゼロの岩手も確認されれば示す方針。一方、青森、秋田は「保健所管内」までにとどめる。感染拡大防止か、誹謗(ひぼう)中傷の回避か。各県で発表の主眼が分かれ、判断が揺らいでいる。
 青森県は市の保健所がある青森、八戸を除き、居住地は原則、保健所管内までしか公表しない。県内で初めて感染確認された八戸市の70代男性の濃厚接触者を巡っては、市が居住の町名を明らかにしたにもかかわらず、非公表を貫いた。
 集団感染が発生した十和田市のグループホームに関しては、所在する市名は発表したが施設名は明らかにせず、施設側が自ら公表する形になった。
 県民から苦情も寄せられるが、県健康福祉部は「感染者が差別を受ける恐れがある。地域の風評被害や偏見を避けるための措置だ」と理解を求める。
 同様の対応を取る秋田県も「小さな町や村だと個人が特定される恐れがある」(保健・疾病対策課)と説明。16日の県議会県政協議会では「プライバシー保護に偏っていないか」と適切な情報開示を求める意見が相次いだものの、基本的な方針は変えないという。
 一方、福島県の対策本部は「感染拡大防止のために、ある程度地域が分かる必要がある」と強調。宮城県疾病・感染症対策室の担当者は「市町村を公表することで住民に注意喚起を促すことができる」と話す。
 個人情報保護の取り扱いに詳しい鈴木正朝新潟大教授(情報法)は「クラスター(感染者集団)の発生地に近づかないなど、人々に行動の変化を促すのが公表の趣旨だ。効果を考えないと中途半端になる」と指摘。「国が法律で一本化し、公表基準を一律にするべきだ」との考えを示す。


2020年04月24日金曜日


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