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PCR検査、東北低調 機器稼働率4割未満、基準や人員運用に課題

 新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査機器の平均稼働率が東北で4割に満たないことが30日、河北新報社の各県への取材で分かった。検査対象を決める基準や人員体制がネックになっており、政府が目指す1日2万件の検査に向けてハード以上にソフト整備が求められそうだ。
 各県の検査実績は表の通り。稼働率の最大は山形の34.6%で最低は岩手の11.1%、宮城は27.2%。人口1万人当たりの検査件数は最多の山形が19.9件で最少の岩手が2.8件、宮城は8.2件だった。
 山形は、国立感染症研究所が示す調査実施要領が対象外とする「無症状の濃厚接触者」も積極的に検査。一方、全国で最も検査件数が少ない岩手は、28日まで専門医ら6人による投票で検査の要否を決める独自の運用をしていた。
 検査能力が最大の福島は民間委託などを積極的に進め、感染拡大前の1日32件から200件まで拡充した。県の担当者は「検査能力を高めれば、無症状者の『念のため』の検査を後回しせずに済む」と話し、6月までにさらに120件増やす方針だ。
 検査件数が増えないのは、国立感染症研究所の要領が対象を「感染者と濃厚接触者」に絞っているのが主な要因とされる。
 要領は、発熱が続くなど新型コロナと症状が似ている疑似症患者は「確定例になる蓋然(がいぜん)性が高い場合」と限定。帰国者・接触者相談センター(保健所)には検査を望む声が多数寄せられており、ミスマッチは広がる一方だ。
 各県の担当者らは「無感染の証明のように検査を求められると現場がもたない」(山形県)「検査機器だけ増やしても人員が足りない」(仙台市)など、増加する相談に即応できないジレンマも抱える。一方、秋田県は、疑いのある患者の検査に特化した仮設診療所の準備を進める。
 日本遺伝子診療学会理事で東北福祉大の舩渡忠男教授(遺伝学)は「民間を活用すれば1日2万件は検査が可能だ。ただ、現状では人員と検査機器が足りず、活用できる資源を集中して対策する必要がある」と指摘する。


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2020年05月01日金曜日


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