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東北の酒造会社、消毒液代替品に参入相次ぐ 規制緩和で国も増産後押し

金龍が発売したアルコール濃度66%(左)と77%のウオッカ

 新型コロナウイルスの感染拡大で消毒液が不足する中、代替品となるスピリッツなど高濃度アルコール製品の発売に乗り出す東北の酒造会社が相次いでいる。国も消毒に有効だとするアルコール濃度を引き下げたり、製造免許の取得手続きを簡素化したりして、増産を後押しする。

 酒田市の焼酎製造販売「金龍」は4月27日、アルコール濃度66%のウオッカを発売した。1日当たりの生産量は、720ミリリットル瓶で5000〜1万本。スーパーやドラッグストアといった通常の市販ルートを通して一般家庭に供給する考えだ。
 厚生労働省が22日付の通達で手指消毒に使用可能と示した濃度60%以上の高濃度アルコール製品を巡っては、醸造用アルコールに加水してスピリッツを製造するなどの方法で東北の日本酒メーカーの参入が続く。
 4月中旬以降、寒梅酒造(大崎市)が濃度73%、楯(たて)の川酒造(酒田市)が65%などと東北各県の酒蔵が製品開発を相次いで発表。クラフトジン製造会社のMCG(大崎市)も80%の新商品を発売した。
 厚労省、総務省消防庁、国税庁の3省庁は今回、特例として関連法令の弾力的な運用方針を断続的に打ち出し、消毒液代替品のアルコール製品の生産拡大を促している。
 厚労省は3月23日、医療機関などで手指消毒にアルコール濃度70〜83%の製品を使用できると通達し、4月10日には一般の酒造会社からの購入も認めた。22日には消毒に有効とする濃度を60%台に引き下げた上で、「医薬品ではないが、手指消毒が可能」などという広告も可能にした。
 国税庁は厚労省の方針に基づき13日に高濃度アルコール酒類を飲用以外に用いても酒税法上の問題はないと示し、21日には代替品製造に参入する酒造会社の新たな免許取得を不要とするなどの運用を始めた。容器に「飲用不可」の表示などをした場合は酒類ではなくなるとして、酒税を課さない方針も5月1日に発表した。
 濃度67%以上のアルコール類は、消防法の危険物として1日80リットル以上の製造が市町村の条例などで厳しく規制されている。だが今回、消防庁は酒造会社の個々の製造環境などに応じて弾力的に対応するよう各地の消防本部に求めている。
 山形県内の医療機関向けに濃度77%のウオッカも4月21日から販売している金龍は、1日当たりの生産量を500ミリリットル瓶156本の計78リットルに抑えている。佐藤亮常務は「製造の安全を確保するのは当然だが、工夫の余地がないか当局と相談していきたい。毎日のように状況が変わるので、情報収集に努めている」と話す。


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2020年05月03日日曜日


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