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宮城の港町苦境 水産物の価格下落顕著、感染対策に不安も

石巻魚市場で競りに参加する仲買人や市場関係者=4月24日午前6時30分ごろ
気仙沼市魚市場でメカジキの入札に臨む仲買人ら=4月24日午前7時55分ごろ
塩釜市魚市場でマグロを品定めする仲買人=4月24日午前7時30分ごろ

 新型コロナウイルスの余波が宮城県の港町を直撃している。緊急事態宣言に伴う感染拡大対策で居酒屋や飲食店が臨時休業し、水産物の需要が急激に落ち込んだためだ。市場の取引価格は振るわず、前年比で半値の魚も。事態が収まらなければカツオやマグロといった主要魚種への影響も懸念される。

■石巻
 
 東北一の水揚げ量を誇る石巻魚市場は、業務関連の注文減少と市場内での感染対策という「二重苦」に頭を悩ませる。
 飲食店からの需要が中心となる活魚の値崩れは特に大きい。ヒラメは昨年4月は1キロ1400円程度で取引されたが、ことしはほぼ同じ水揚げ量なのに800円台で推移している。旬を迎えたシャコエビも相場を3割下回る状況が続く。4月の売り上げは前年同月比で3割減の見込みだ。
 比較的堅調だった大衆魚にも影響が出ている。年間4500トンを水揚げするギンザケは、相場から3割超下落して1キロ400円の値が付いた日もあった。
 仲買人らに手や靴の消毒とマスクの着用を呼び掛け、棟内での感染予防に努めているが不安は拭えない。佐々木茂樹社長(61)は「価格の下落も気掛かりだが、一般消費者のために魚市場の機能を維持することが重要。感染防止に全力を尽くす」と話す。

■気仙沼 

 気仙沼市魚市場では飲食店の休業が目立ち始めた4月中旬以降、価格の下落が顕著になった。運営する気仙沼漁協によると、4月の平均価格(22日時点)はアイナメが前年同月比で半分程度となる1キロ当たり1086円。ヒラメは3割減の1111円、メカジキは2割減の933円などだった。
 23年連続で水揚げ量日本一を誇る生鮮カツオは、これからシーズンを迎える。居酒屋や加工で需要があり、漁協の臼井靖参事(56)は「とにかく早い終息を祈るしかない」と語る。
 水産卸として幅広い魚種を扱う同市の阿部長商店は3月中旬以降、水産部門の売り上げが3割減った。阿部泰浩社長(56)は「飲食店への休業要請が長引き、販路が狭い中で競争になれば非常に厳しい。特にカツオは気仙沼の花形。魚価が下がれば出漁する船も減りかねない」と案じる。

■塩釜

 日本有数のマグロ基地、塩釜市の塩釜港でも異変が起きている。市魚市場では4月に入り、大都市向けの上物の値段が2〜3割下落。このままでは秋に水揚げされるメバチマグロのブランド魚「三陸塩竈(しおがま)ひがしもの」にも響きかねない。
 4月1日に魚市場に入る二つの組織の卸売部門を統合し、みなと塩釜魚市場が営業を開始した。ことしの水揚げ目標100億円を掲げるが、達成は厳しい。志賀直哉社長(73)は「漁獲制限を踏まえ、船主に今マグロを捕ってもまともな値段にならないと伝えている」と明かす。
 約100の商店が軒を連ねる塩釜水産物仲卸市場では、観光客が激減した影響も大きい。男性商店主(60)は「4月の売り上げは前年比で7〜8割減。感染は怖いが、営業しないと生活できない。県の休業要請の対象外で協力金はもらえず、緊急事態宣言の期間が長引くと多くの店は持たない」と危機感をあらわにする。


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2020年05月04日月曜日


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