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新型コロナ、防疫と経済両立にかじ 宮城・村井知事インタビュー

「仙台市との協力関係は非常に強固だ」と語る村井知事

 宮城県の村井嘉浩知事は河北新報社のインタビューに応じた。新型コロナウイルス特別措置法に基づく営業自粛要請の解除を「知事人生で最も悩んだ。最後はデータを見て決断した」と説明。「ウイルスは簡単に消えない。今は共存していくしかない」と述べ、感染防止と社会経済活動の両立にかじを切るべきだと強調した。(聞き手は報道部・土屋聡史)

 −7日、営業自粛要請の全面解除に至った経緯は。
 「(正式決定した対策本部会議直前の)5日午前、幹部との協議で決断した。県内の感染が小康状態で、営業自粛を求めなかった他県では大型連休中も患者がさほど増えなかった。県民が節度ある行動をすれば、店を開けても感染は広がらないと判断した。専門家が解除を認めたことも背中を押した」

 −防疫面での課題はないか。
 「最も恐れているのは(ウイルスが持ち込まれる恐れがある)県をまたいだ往来だ。県境を越えた移動を避けるよう訴えつつ、検査、医療、療養の体制を維持したい」
 「状況が悪化すれば営業自粛の再要請もあり得る。どのタイミングで検討するか明確な基準は設けていないが、集団感染の有無など状況を分析し、専門家に意見を仰ぎ判断する」

 −県内経済の見通しは。
 「自粛傾向が続く中、一気に人は街に戻らない。感染防止の観点から、県が積極的に呼び込むわけにもいかない。事業所が対策を徹底し、ゆっくりと回復させるのが妥当だ。機を見て景気対策を打ち、トップスピードに持っていく」

 −他県に比べ、営業自粛の解除が早かった。
 「『県民の命と経済、どちらが大事だ』と言われかねない選択だけに、相当悩んだ。近県の知事と相談し合った。瞬時の決定を求められた東日本大震災とは違う判断力が問われた」

 −県立学校の再開は6月1日。社会経済活動の再開と約3週間ずれる。
 「学校生活は密集、密閉、密接の『3密』になりやすく、より安全性を高める意味で適切だ。県議と情報交換した限りでは、早期の再開を望む保護者の声は皆無に等しい。もっとも、5月末まで全ての活動を自粛するのでなく、部分登校や時差登校で徐々に学校に慣れてもらうことは大事だ」

 −全国知事会で、9月入学制を提案した。
 「想像以上に同様の問題意識を持つ人々が多かった。ボールは今、政府にある。賛否両論があり、実現の可能性は見通せないが、物事にはきっかけがある。宮城でも水産特区や仙台空港民営化は震災がなければ踏み切れなかった。有事を機に見直せることもある」

 −新型コロナ特措法で、知事の権限が強化された。
 「政府が地方を信用している証左だろう。今後、この傾向は強まると思う。国に予算を求める立場ではあるが、国の財政を考えると複雑だ。今回の対応を見ていると財政規律が緩んでいる気がする。知事の発言力が強まり地方に予算が配分されるのはありがたいが、国家財政の破綻につながっては元も子もない」


2020年05月10日日曜日


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