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稲の成長に再起託す 台風被害から水田復旧 丸森の農家が田植え

水田を代かきする梅津さん。崩れたのり面は土がむき出しで、道路は路肩が一部削り取られている
土砂を撤去した棚田を歩く大槻さん。脇の斜面には崩れた跡が残っている

 台風19号から12日で7カ月となる宮城県丸森町で、水田を復旧させた農家が田植えを始めた。耕土を地域づくりに生かす活動も再開したが、周辺には爪痕が残る。農家は不安を抱きつつ、稲の成長に再起を託す。
 雉子尾川の氾濫で農地が冠水した大内地区。梅津正喜さん(74)は4月末、約40アールの水田に水を張り、代かきを進めた。台風で水田ののり面が崩れ、水路が土で埋まった。梅津さんは昨年12月、約30メートルにわたって自力で土を取り除いた。
 雉子尾川から水を引く堰(せき)は仮復旧の状態。水田沿いの町道は、路肩がのり面とともに崩れた。
 梅津さんは収穫期後を気に掛ける。周辺の農家と4年前から冬期湛水田「ふゆみずたんぼ」に取り組んでいる。「稲刈り後に道路や堰の本格復旧工事があるとすれば、水を張れない可能性がある」と見通す。
 ふゆみずたんぼは、江戸時代に地区を飛んでいたとされるタンチョウを再び戻す地域づくり活動の一環。湿地を設け、飛来を待つ。
 12農家約20ヘクタールで行う予定だった昨季は農地の被災で断念した。水田が土砂に埋め尽くされ、復旧の見通しが立っていない農家もいる。梅津さんは「タンチョウ飛来の夢は持ち続けたい。実現すれば復興のシンボルになる」と強調する。
 「日本の棚田百選」に選ばれている大張地区の「沢尻の棚田」では、水田27枚のうち14枚を手掛ける大槻光一さん(71)が今月上旬、苗を植え始めた。
 水田脇の斜面から土砂や倒木が流れ込み、連なるのり面も至る所で崩れた。大槻さんら3人が重機で土砂などを撤去し、昨年12月にほぼ復旧させた。大槻さんは「作付けできるか不安だったが、棚田の景色を守りたい気持ちが強かった」と振り返る。
 周囲は山肌があらわとなり、被害の大きさを物語る光景に変わった。大槻さんは「訪れた人に棚田の復旧を実感してもらえる」と語る。
 町の農業被害は2月末現在で農地が786カ所、水路が676カ所など。中心部に近い農地は現在も土砂が広範囲に堆積し、作付けにはほど遠い状態が続く。
 町災害復旧対策室は「激甚災害指定で、個人の工事負担は0.5%程度になる見込み。農地を後世に残すためにも、営農再開を悩んでいる人は相談してほしい」と呼び掛ける。


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2020年05月11日月曜日


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