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被災地の復興予算要望に影 東京と行き来制限、心理的距離も拡大

テレビ会議で村井知事と意見交換する田中復興相=4月21日、復興庁

 東日本大震災から10年を迎えるのを前に、新型コロナウイルスの感染拡大が及ぼす復興事業や財源確保への影響に懸念が強まっている。被災地には「東京との行き来が制限され、関係省庁への予算要望がしにくい」との困惑も。新型コロナ対策がメインの2020年度補正予算は4月30日に成立したが、復興庁の設置期限を延長する法案審議は棚上げの状態が続く。

 復興庁は4月に発令された緊急事態宣言の後、感染拡大の抑止策として面会を伴う要望活動の自粛を要請し、テレビ会議や書面のやりとりに切り替えた。村井嘉浩宮城県知事は21日、県庁と復興庁を結ぶ専用回線を使ったテレビ会議で田中和徳復興相と会談した。
 「顔を合わせての意見交換が難しい」と話を切り出した村井知事は、「感染拡大が復興事業に影響を与えている」と指摘。沿岸部の観光業や水産業に加え、保健師が被災者を訪問する心のケア活動が縮小している現状を訴えた。
 達増拓也岩手県知事も24日、感染拡大で建築資材が確保できず、住宅再建が遅れている実情への対策を画面上の復興相に求めた。
 昨年9月の復興相就任以来、計22回を数えた田中氏の被災3県の訪問は、東京五輪の聖火が東松島市に到着した今年3月20日で休止している。
 内堀雅雄福島県知事は4月17日のテレビ会議で、「田中氏が掲げてきた『現場主義』が危機に直面している。コミュニケーションが取りづらい」と苦言を呈した。ウイルスの拡散は、被災地と復興庁との心理的距離も広げている。

 国は復興・創生期間後の2021〜25年度の復興事業規模を1兆円台半ばと見込み、3県は近く予算の要望活動を本格化させる考え。省庁との折衝を担う宮城県東京事務所の千葉章所長は「感染拡大の影響で震災被災地はさらなる財源不足が予想される。要望さえ満足にできない状況は避けたい」と対応を模索する。
 新型コロナの感染拡大に伴う緊急経済対策の実施に向けた過去最大規模の20年度補正予算には、震災の被災地に対する特段の支援策は盛り込まれなかった。復興庁の幹部は「影響は全国共通で、優先的に財源を回してもらうことは難しい」と打ち明ける。
 今国会には20年度末で設置期限を迎える復興庁を10年延長する法案が提出されているが、補正予算案の組み替えで日程が押し、審議入りの見通しが立たない。田中氏は閣議後記者会見で「早めの審議を国会に引き続きお願いしていく」との考えを示している。


2020年05月11日月曜日


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