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「コロナで解雇」は不当 元タクシー運転手、仮処分申し立て

記者会見で突然の解雇通知への戸惑いを語る元運転手ら=12日午前11時30分ごろ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う業績不振を理由とする一方的な解雇通知は無効だとして、タクシー・配送業センバ流通(仙台市宮城野区)の元タクシー運転手4人が12日、同社に従業員としての地位確認と賃金の支払いを求める仮処分を仙台地裁に申し立てた。
 申立書などによると、同社は感染拡大による収入減に対応するため、4月中旬に休業措置を取った。会社側は同30日、労働組合側との団体交渉や郵送で、元運転手を含む8人の組合員全員に整理解雇通知書を交付。通知書に「会社をスリム化し、コロナウイルスに対応していく」などと記されていたという。
 元運転手側は、会社側が雇用調整助成金制度の利用による人件費負担の緩和など、解雇の回避措置を講じていないと指摘。経営状況に関する説明もなく、要件を欠いた整理解雇は無効だと主張している。
 労組によると、同社で4月以降、運転手を中心に従業員約30人が解雇されたとみられる。
 元運転手4人は仙台市内で記者会見した。約5年勤めたという60代男性は「それぞれの生活がある中で事情も説明されずに紙切れ一枚で解雇され、残念で納得できない」と話した。
 同社の代理人は「申立書を確認していないため現時点でコメントできない。今後の手続きで主張を明らかにしていく」と説明した。

◎深刻な業績不振背景 「どの会社も数カ月で限界」

 センバ流通の元タクシー運転手による申し立ての背景には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うタクシー業界の深刻な業績不振がある。雇用維持は労働者、会社の双方にとって喫緊の課題で、関係者は危機感を募らせている。
 宮城県タクシー協会によると、県内5社の抽出調査で4月上期の営業収入は前年同期比で6割以上減った。下期の結果は出ておらず、担当者は「厳しい状況に変わりはない」と各社のさらなる経営悪化を懸念。加盟各社に雇用調整助成金の活用など対策を呼び掛けている。
 感染が終息する見通しは立たず、会社側も、業績回復の兆しが見えない現状に頭を悩ませる。
 運転手を雇い続けるには少なくとも最低賃金を維持する必要がある。売り上げが戻らない中では、会社側の人件費負担は重くなる一方だ。県内の別のタクシー会社の経営者は「雇用調整助成金にすがる状態。このままではどの会社も数カ月で限界を迎える」と窮状を語る。
 会社側の人員削減の動きも表面化してきた。
 タクシー運転手らでつくる労働組合の自交総連東北地方連合会によると、緊急事態宣言の対象が全国に拡大された4月中旬以降、東北の運転手らの間から「解雇か自主退職かを選ぶよう迫られた」「国民健康保険への切り替えを求められた」といった声が上がっているという。
 同地連の石垣敦書記長は「この状態が続けば解雇は増え続ける。今回の申し立てを契機に『諦めなくてよい』と声を上げる人が次々と現れることも考えられる」と話す。


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2020年05月13日水曜日


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