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東北の湯治場や観光名所、ひっそり 宣言解除後初の週末

人影がまばらな鳴子温泉の商店街=16日午前10時30分ごろ、宮城県大崎市
閑散としたままの鶴ケ城=16日午後1時ごろ、福島県会津若松市

 東北の観光名所や湯治場は16日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の解除後初めての週末を迎えたが、人の流れは途絶えたままだった。「『3密』を避ける新しい生活様式」「県境をまたぐ移動の自粛継続」などの制約が、なお重くのしかかる。
 「午前中の客は1人だけ。40年以上働いているが初めてだ」。宮城県大崎市の鳴子温泉駅で客待ちのタクシー運転手(75)が嘆く。緊急事態宣言後に多くのホテル・旅館が休業した鳴子温泉郷。観光協会のまとめでは16日までに宿泊を再開したのは、53軒中28軒。商店街も観光客の姿はまばらだ。
 仙台市青葉区の介護士女性(60)は夫とトレッキングコース「鳴子オルレ」を楽しんでから、温泉街を訪れた。「鳴子は泉質が良いが、いつも利用するホテルの日帰り入浴は休みでした」と残念そうに話した。
 日帰り温泉「早稲田桟敷湯」も休業中。普段は観光客でにぎわう近くの食堂「たかはし亭」の正午の客は1人だけ。五十嵐キヌ子さん(78)は「大型ホテルが再開しないと街並みに活気が戻らない」と嘆いた。
 「探り探りの再開。お客さんも外出していいか迷いつつという様子だ」。鳴子温泉郷の一つ、川渡温泉で自家栽培のコメと野菜を提供する「旅館ゆさ」の遊佐久則さん(59)は現状を語る。11日に再開し、宮城県内の常連客を迎え入れた。
 感染予防のため、部屋の布団は最初から敷くことにした。本来の接客サービスとはかけ離れるが、今は接触を減らさざるを得ない。
 「開湯1000年を越す鳴子が続いてきた原点は保養。温泉の効能で免疫力を高めてもらうため、苦しくても営業を続ける」

◎出口戦略 手探り 会津若松

 休業要請が15日解除された福島県。会津若松市の鶴ケ城に観光客の姿はなく、ひっそりとしていた。
 室井照平市長がフェイスブックで「会津への訪問はお控えください!!」と発信したのは4月17日。翌日から鶴ケ城や周辺の市営駐車場を当面休館、閉鎖し、他の観光施設や温泉旅館、土産店も休業を迫られた。
 市によると、市内の温泉宿泊施設は4、5月の予約件数が前年比90〜95%減。教育旅行は秋へ変更が相次ぎ、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、誘致策が奏功した訪日外国人旅行者(インバウンド)の来訪もぴたりとやんだ。
 関係者が模索する出口戦略は手探りが続く。
 「営業再開しても客が来るかどうか読めない」と言うのは東山温泉観光協会の鈴木寿治事務長。主要温泉旅館・ホテルは再開準備を進めるが、鶴ケ城天守閣など観光施設が再開しなければ誘客は難しく、アクセルを踏むタイミングを計りかねている。
 会津地方17市町村で感染者は確認されていない。県境をまたぐ移動の自粛要請は継続中で「性急な再開は感染リスクを高める」と懸念する声もある。
 会津若松観光ビューローの池田哲哉専務は「今後は全国の観光地が一斉に再開へ動き、誘客競争になる。震災に伴う風評払拭(ふっしょく)の取り組みとは違う難しさがある」と指摘する。


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2020年05月17日日曜日


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