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「独立性は検察官のプライド」 現・元職が胸中明かす

検察官の記章(バッジ)

 検察官の定年を延長する検察庁法改正案は、今国会での成立が見送られた。著名人を含む多くの国民が「検察の独立性への信頼が失われる」と声を上げるなど、定年延長問題は異例の展開が続く。現・元検察官らが河北新報社の取材に胸中を語った。
 安倍政権に近いとされる黒川弘務東京高検検事長の定年延長は1月に閣議決定された。検事総長に就かせるためとの見方が根強い。 現職検事正は「(総長は)黒川氏では駄目だと思わないが、定年を延長してまで特定の人物でなければ務まらない検察の仕事は基本的にない」と指摘。「独立性は検察官のプライドだ」と続ける。
 黒川氏が有能との評価は検察関係者の間で共通する。同氏と同期のOBは「法務検察全体のために政権と交渉し、より良い方向に導こうとしていた。それだけに(検察内部でも異論がある)定年延長を彼が受け入れた時は『なぜだ』と思った」と話す。
 同氏と共に総長候補とされる林真琴名古屋高検検事長も同期。OBは「同期の間では、2人とも総長にしたいという望みがあった」と明かす。
 弁護士への転身や後進に道を譲るなどの理由で、定年前に退官する検察官は多い。ある現職は「定年が延長されても、自分がそれまで検察官を続けるとは思えない」と語る。別の現職は「社長(検事総長)人事のもめ事で、平社員(現場の検察官)の間では正直、人ごとだ」と距離を置く。
 黒川氏の定年延長に関する国会審議で、東京電力福島第1原発事故時に検察官が市民より先に逃げたと答弁し、後に発言を撤回、謝罪した森雅子法相への視線は厳しい。「現場の士気が下がる」といった不満や、昨年の参院選を巡る選挙違反事件で立件される見通しの河井克行前法相などを引き合いに「問題がある大臣は他にもいた」と冷ややかに指摘する声が聞かれた。


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2020年05月19日火曜日


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