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宮城の看護職9割「精神的負担増した」 感染リスク隣り合わせ、業務煩雑化

 新型コロナウイルスの感染拡大後、宮城県内の病院に看護職として勤務する人の9割以上が「精神的負担が増した」と実感していることが、東北大のオンライン調査で分かった。感染リスクと隣り合わせの職場状況や業務の煩雑化が理由とみられ、専門家は「医療現場の離職者が増えかねない」として労働環境や処遇の改善を訴えている。

 主な調査結果はグラフの通り。回答した看護師や准看護師らのうち、実際に新型コロナの感染者や、感染の疑いのある患者に対応した経験があるのは全体の4割弱だった。
 一方で仕事への精神的な負担が「非常に増加した」との回答が48.5%と半数近くに上り、「少し増加した」を含め9割を超えた。
 自由回答では、「マスクや衛生用品が不足し、身を守りきれないと感じる」「マニュアルもないまま、限られた人数と医療防護具で働かせられる」など、労働環境への不安を訴える声が目立った。
 職場の外でも負担を感じている実態が明らかになった。新型コロナについて「自分が家族に感染させるのではないかと心配しているか」との設問では、「非常に心配」が45.5%、「少し心配」が47.4%となり、合わせて9割を超えた。「家族との接触を減らしている」との回答も全体の47.9%を占めた。
 職場の業務量に関しては58%が「増加した」と回答。「変わらない」は34.4%、「減少した」は7.6%だった。
 調査した東北大大学院医学系研究科の朝倉京子教授(看護管理学)は「強いストレス反応や心身の不調を訴える看護師がいると危惧される」と指摘。「医療の質の確保に向け、コロナ対応への診療報酬の追加や、通常診療が減った分の補助金支給など経済的な支援が必要だ」と強調する。
 調査は今月1〜18日、20以上の病床がある県内138病院に勤務する看護職(約1万4000人)を対象にオンラインで実施。1525人から回答があり、平均年齢は39.7歳で女性が93.4%を占めた。

◎「差別・偏見経験」12% 家庭内で孤立の事例も

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東北大が宮城県内の病院勤務の看護師らを対象に実施したオンライン調査では、回答者の12%に当たる183人が新型コロナに関連する差別や偏見を経験していた。家族が差別的な扱いを受けたケースも指摘されるなど深刻な実態が明らかになった。
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 「差別や偏見を経験した」と答えた看護師らの自由記述では、感染者であるかのように周囲から避けられたり、けがれた存在として差別的に扱われたりした悩みがつづられた。
 「地域の行事で『病院で働いている人には来てほしくない』と言われた」、「スーパーの駐車場で、見知らぬ男性が車内の病院の駐車証をのぞき込み、『コロナの病院のやつは出歩くな』と言われた」など暴言を受けた事例が目立った。
 保育施設を利用する看護師からは「保育園で息子が隔離され、他の園児と別室で過ごしていた」、「保育園に子どもの保育を断られた」との証言が寄せられた。病院勤務を理由に「夫が勤務先からテレワークや外出自粛を求められた」との回答もあった。
 「感染を心配して親戚がわが家に来ることを避ける。『ウイルスを持ってくるな』と言われる」、「家族に『感染したら困るから会いたくない』と言われた」など、家庭内や親族間で孤立するケースもあった。
 調査を担当した東北大大学院医学系研究科の朝倉京子教授は「看護職は患者に最も近く、親しみやすい医療者である半面、女性の多い職場で、社会的に低く見られがちだ」と指摘。差別の解消につながるような医療機関への支援を行政側に求めている。


関連ページ: 宮城 社会 新型コロナ

2020年05月23日土曜日


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