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イノシシ防止柵、町をぐるり50キロ長 宮城・色麻 「個人での対策限界」

イノシシが侵入した跡がある水田で対策を話し合う住民ら

 イノシシによる農作物の被害を防ごうと、宮城県色麻町は山間部側に総延長約50キロの侵入防止柵を設置する。個人による柵の設置では他の地区に被害が移る「いたちごっこ」になるため、地域住民の協力で秋の収穫時期前の完成を目指す。

 柵は北は加美町、南は大衡村まで延びるように設置。イノシシは川そばの茂みを移動することが多いため、陸地に上がってこないよう、川の流域にも柵を巡らす。
 主に高さ約1.2メートルのワイヤメッシュ柵を用いる計画で、地区によっては高さ約50センチの電気柵を選択できる。総額5000万円と見込まれる費用は国の交付金で賄う予定。
 背景には、深刻化する被害がある。町内のイノシシとツキノワグマの農作物被害額はグラフの通り。近年はツキノワグマ関連が減少した一方、イノシシの被害が目立つ。ほかにも、あぜ道が壊されたり、水路が詰まったりする被害があるという。
 町は2016年から地区ごとに小規模な電気柵を導入してきた。被害が減った年もあったが、未設置地区に被害が移るなど抜本的な対策にはならなかった。
 新たな計画では現在、各地区が具体的な設置方法を検討している。平沢地区は広い区域を電気柵で囲む方法を選んだ。積雪のある冬季に取り外すことができ、農機具の出入りが容易な点を考慮した。副区長の鈴木栄紀さん(64)は「個人での対応は限界だ。地域で取り組みたい」と期待する。
 町の鳥獣被害対策アドバイザー鈴木淳さん(東北野生動物保護管理センター)によると、西日本では全域に防護柵を設置する自治体があるが、東北では珍しいという。「色麻は山地と生活エリアが分かれ、取り組みやすい。人間とすみ分けすると野生動物が害獣にならない」と意義を語る。
 課題は設置の人手。川沿いの茂みの対策には、県など河川管理者の理解も求められるという。町産業振興課の担当者は「新型コロナウイルスの影響で大人数で作業できるか心配だが、長期的に有効で維持しやすい対策を確立したい」と意気込む。


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2020年05月29日金曜日


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