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<せんだい進行形>カラスの巣が停電原因に 東北電、対策に必死

電柱にできたカラスの巣を取り除く作業員=2日、仙台市若林区

 カラスが電柱に巣を作るケースが多発している。東北電力ネットワーク宮城支社によると、宮城県内で昨年除去した巣の数は過去最多の2827件。今年も5月末で2500件を超えた。電柱への営巣は停電の原因となるため、同社はパトロールや防止対策に努める。(報道部・水野良将)

 仙台市若林区日辺の水田近くで2日、電柱にできた巣の除去作業があった。地上約8メートルに木の枝や金物、羽毛などで作られ、大きさ30センチほど。高所作業車で近づき、作業員が専用のスティックで取り除いた。
 同社仙台南電力センター配電技術サービス課の千葉伸広技術長は「早いと1日で巣の大体の形ができてしまう。営巣の時季はパトロールを強化し、停電の恐れがある場合は除去している」と話す。
 営巣のピークは3〜5月。ひなを見守りながら餌を取れるよう、見晴らしの良い場所に作る習性がある。電線などに触れることで漏電し、例年10件前後の停電を引き起こす。今年は5月末現在、仙台、石巻両市と柴田町で計7件が発生し、計2164戸に影響が出た。
 除去数と停電件数の推移は=グラフ=の通り。
 除去数は東日本大震災が起きた2011年は1000件を切ったが、ここ数年は増加傾向にある。仙台、名取、岩沼、石巻各市の割合が高く、震災の津波で多くの木が流された沿岸部、震災後に完成した新興住宅地でも実施している。
 電柱のように設備が多く、巣の材料となる木の枝やハンガーが近くで手に入りやすいことなどが巣の作られる条件とみられる。同社は電柱上部にリングや長い針による器具を設置するなどの対策を講じているが、解決には至っていない。
 千葉技術長は「カラスは学習能力が高い。器具の隙間を見つけて営巣するなど、いたちごっこが続いている」と語り、巣を見つけた時は連絡するよう呼び掛ける。連絡先はネットワークコールセンター(0120)175366。

◎素材になる物管理徹底を/宇都宮大・杉田名誉教授

 「カラスの営巣対策は永遠のテーマ。今のところ特効薬はない」。カラスの生態に詳しい宇都宮大の杉田昭栄名誉教授(動物形態学)が言う。
 杉田氏によると、日本に生息するカラスのうち、電柱に営巣するのは主にハシボソガラス。見通しの利く開けた場所に巣を設け、巣の様子に注意しながら餌を取る習性があるという。
 農村部では昆虫や稲、果実などを食べ、都市部では人間の残飯も口にする。暖冬の影響で越冬しやすいことも、電柱への営巣増加に結び付いているとみられる。
 電柱で暮らしたいカラスと、防ぎたい人間。杉田氏は「カラスは昔から人間の物を利用することを学び、効率の良さに味を占めている」と指摘。営巣が停電につながるという意識を市民が共有し、餌や巣の素材になり得る物を責任を持って管理するよう勧める。
 カラスは巣を撤去されても別の場所に再び営巣するため、電気の通っていない鉄柱を造り、そこに営巣を誘導する方法も提案する。


2020年06月05日金曜日


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