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丸森の国道・県道、新ルートに尽きぬ不安 大雨時は孤立覚悟

大張地区の国道349号。過去にあった冠水の高さを伝える表示板があり、佐藤さんが危険性を指摘する

 宮城県丸森町内に甚大な被害をもたらした台風19号から12日で8カ月となる。阿武隈川沿いの国道349号の一部新設など、道路の大規模復旧工事が動きだす中、地域を通る道が寸断されたままの集落もある。住民たちは「新ルートは避難に使えるのか」などの不安や、孤立を感じながらの暮らしを続けている。

 349号が走る大張地区の槌屋集落は8世帯約25人が暮らす。台風時は土砂崩れで集落内の町道は各所が寸断され、国道も冠水した。集落は孤立し、浸水や土砂流入の被害があった家屋もある。
 東北地方整備局は、349号の約6キロ区間で山側に別ルートを設ける方針。本年度、測量や地質調査を進め、具体的な計画を固める。現段階の図面をみると、長いトンネルが集落西側を走る。集落からトンネルの出入り口へ行くには、冠水や土砂崩れがあった現在の国道や町道を通る必要がありそうだ。
 集落に住む画家佐藤光郎さん(66)は「トンネルで集落外へ避難しようにも危険を伴う。見捨てられた印象だ」とため息交じりに語る。他の住民も「大雨でも家に残るほかない」と孤立を覚悟する声を上げる。
 集落の自治会は整備局側に説明を求める考え。佐藤さんは「トンネルに反対はしないが、集落からも使いやすく整備できないものか」と望む。

 筆甫地区では、町中心部につながる県道丸森霊山線4.8キロ区間の通行止めが続く。県は一帯の山や河川の安全対策工事も進め、2022年度ごろの開通を目指す。町中心部へ行くには、別の県道や町道での迂回(うかい)を余儀なくされ、距離は5キロほど長くなる。
 迂回路は路肩の崩れなどが目立つ。車で頻繁に通る地区の女性(65)は「復旧工事車両が多いからか、路面の傷みが増しているようだ」と表情を曇らす。冬季の路面凍結が多い箇所もあり「しっかり安全対策をしてほしい」と求める。
 地区内には寸断されたままの町道もある。住民自治組織「筆甫地区振興連絡協議会」会長の引地弘人さん(72)は「仮設住宅で避難生活を送る住民にとっては、道路の状況も地区に戻るかどうかの判断基準になる」と、生活に不可欠なルートの早期復旧を願う。


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2020年06月10日水曜日


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