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<せんだい進行形>ライブハウス再始動 「3密」避け一体感模索

来場客が腕を突き上げて盛り上がったライブ。客同士の間隔を空け、掛け声は禁止された=6日、仙台市青葉区の仙台スペースゼロ
入り口で行われた来場者への検温。感染情報を通知する宮城県のアプリに登録した=6日、仙台市青葉区

 新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受けた仙台市内のライブハウスが再始動している。クラスター(感染者集団)発生の懸念から、緊急事態宣言の解除後も関係者は慎重に今後の運営を模索してきた。「3密」を避ける対策と、出演者と観客の一体感といった魅力を両立できるか。先陣を切って開催された地元歌手のライブを訪れ、探った。(報道部・高橋一樹)

 6日午後、JR仙台駅に近い青葉区のライブハウス「仙台スペースゼロ」。角田市出身の女性シンガー・ソングライターCarya(カーヤ)さん(22)ら2組がステージに立った。
 収容人数約100人だが、この日は宮城県民30人に限定し、訪れたのは21人。全員がマスクを着け、間隔を1メートル空けて並ぶ。ステージと客席の間にはビニールの隔壁。お決まりの掛け声は禁止。観客は手拍子や身ぶりのほか、文字を書いたスケッチブックを掲げ、静かな「声援」を送った。
 カーヤさんはダンスやギター演奏を交え、春に初披露するはずだった「桜SKY」など8曲を熱唱。「会えた喜びが何倍にもなりました。みんなで壁を乗り越えていけたらいいな」。語りかけると、観客から大きな拍手が沸き起こった。

 2月に大阪府のライブハウスでクラスターが確認されて以降、全国のライブハウスは苦境に陥った。仙台スペースゼロでも3〜5月のライブ計50本以上が中止か延期となり、収入はほぼゼロとなった。
 店長の北原広望(ひろみ)さん(39)は「事業を止めたくなくて、何ができるか毎日のように話し合った」と話した。ライブ配信やクラウドファンディングでしのいできたという。
 政府の緊急事態宣言が5月25日に全面解除され、宮城県は「6月18日まで屋内は100人または収容定員半分以下」などのイベント開催に関する目安を提示。仙台スペースゼロなど市内の12のライブハウスは、感染防止対策を実施した上で順次営業を再開し、段階的に入場制限を緩和する内容のガイドライン(表)をまとめた。

 6日のライブは、ガイドラインに沿った県内初のイベントとなった。宮城野区の会社員三国誠さん(47)は「こんなに制約が多くて楽しめるのか、という不安はすぐに消え、生の声を聞けたうれしさが勝った。やると決めた事務所やライブハウスに感謝したい」と声を弾ませた。太白区のパート佐藤美保さん(38)も「安心して参加できた」と笑顔を見せた。
 歌い終えたカーヤさんは「音楽を直接届ける時間のかけがえのなさを感じて泣きそうになった」と明かす。「まだライブハウスが不安な人もいると思うけれど、歌い続けて楽しい場所をつくっていきたい」と決意を新たにした。
 県のアプリ登録に時間がかかるなど課題もあったが「みんなが協力して楽しんでくれた。可能性が広がった」と北原店長。今後も地元アーティストのライブを中心に少しずつイベントを組む予定だ。
 観客、出演者、スタッフいずれの表情も、ようやくライブができた喜びにあふれていた。ライブハウスの復活には、行政も含めて関わる全ての人の協力が欠かせない。



宮城ライブ施設対策モデル(暫定版)


2020年06月12日金曜日


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