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岩手のチャグチャグ馬コ、存続危機 後継者不足、イベントも激減

チャグチャグ馬コに出る予定だった愛馬をなでる藤倉さん=岩手県滝沢市

 新型コロナウイルス感染症がなければ、手塩にかけた馬が歓声を浴びているはずだった。13日の開催が中止となった岩手の初夏の恒例行事「チャグチャグ馬コ」。地域の馬事文化を代表してきたが、近年は後継者不足に悩まされる。長年馬と生き、行事に携わってきた農業藤倉広美さん(67)=岩手県滝沢市=は「絶対に途絶えさせてはいけない」と伝統継承を誓う。
 20代から毎年チャグチャグ馬コに馬を出してきた。「中止は残念や寂しいなんて言葉では足りない。何かが抜け落ちた感覚だ」。藤倉さんの落胆は大きい。
 子どもの頃から馬と共に暮らしてきた。代々、農耕のため飼育していたが、今では家族の一員として大切に育てている。
 毎朝早起きして餌となる畑の草を刈り、馬ふんは堆肥に使う。出産や病気とあれば一晩中付き添う。馬の世話を通じて、労苦を惜しまない生活習慣が身に付いた。「汗水流してお金を稼ぐという労働の原点を馬が教えてくれた。チャグチャグ馬コが近づくと、成功に向けて家族の結束も強まるんだ」
 もともと行事は継続の危機にある。馬の扱いにたけた馬主が減り、練り歩く際の安全確保が難しくなりつつある。高齢化や経済的な理由で馬を手放し、北海道から馬を借りて出場する人もいるという。
 今年は新型コロナのため馬が参加する他のイベントも激減している。「今の状況が続けばさらに馬を手放す人も増えるだろう」。藤倉さんが嘆く。
 チャグチャグ馬コは本来、馬の健康祈願と馬主同士の交流が目的。行事は中止となったが、藤倉さんは13日、1人で神社にお参りするつもりだ。「来年は今まで以上に心を込めて行進させてあげたい。途絶えさせてはならない大切な伝統なんだ」と力を込めた。

[チャグチャグ馬コ]1978年に国の無形民俗文化財に登録された伝統行事。6月の第2土曜日に色とりどりの装束や鈴を身にまとった馬約80頭が、はんてん姿の子どもらを背に乗せ、鬼越蒼前神社(滝沢市)から盛岡八幡宮(盛岡市)まで約14キロを行進する。中止は現在の形となった48年以来初めて。


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2020年06月13日土曜日


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