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仙台市、小学校夏授業へ家庭用エアコン 「1教室1台」に異論噴出

家庭用エアコン(右上)と教室(中央)、51校への配備を発表する郡和子市長(左下)のコラージュ

 仙台市教委が7月中旬までに業務用エアコンの設置が完了しない市立小学校51校に対し、家庭用ルームエアコンを1教室に1台ずつ配備する方針を巡り、疑問や異論が噴出している。工事期間と予算を理由に「1台配備が限界」とするが、冷房能力が足りないのは明らか。「中途半端な対策」(市議)の印象は拭えない。夏本番を前に児童の熱中症を懸念する声が広がる。
(報道部・伊藤卓哉)

 市教委によると、市立小119校への業務用エアコン設置は2019年度中に終える予定だったが、7月中旬までの設置校は68校(57.1%)にとどまる。
 残る51校の普通教室800室には、14〜16畳向けの家庭用エアコンを1台ずつ配備する。電気容量の不足は仮設の発電機をリースして補う。設置費3億1500万円は学校建設費などを圧縮し、財源を流用する。
 一般的な普通教室は38畳前後あり、家庭用を取り付けるとなると、少なくとも2、3台は必要になる広さだ。市教委は扇風機の併用などで冷やすと説明するが、新型コロナウイルスの感染予防策で休み時間は窓を開けて換気するため、冷房効果は続きそうにない。
 ベテラン市議は「中途半端な対応で児童が熱中症になったらどうするんだ」と憤る。市教委学校施設課の渡辺裕生課長は「1台配備を2台に増やせば工期も費用も2倍に膨らむ。夏までの残り日数を考えると1台がぎりぎり」と釈明する。
 職員室や単独調理校の給食室への設置も工期や予算を理由に見送った。調理員には冷却タオルなどを配布する方針だが、教職員は猛暑の中で働くことになる。
 市教職員組合の佐々木大介書記長は「仕事の能率は下がるし、体調を崩す恐れもある。業務用エアコン設置校と労働環境が違い過ぎるのも問題」と批判する。
 市教委がエアコン未設置校の猛暑対策を練り始めたのは4月下旬。学校再開が大幅に遅れ、授業時数を確保するため夏休みを短縮し、授業日を増やす方向が固まった頃に動きだした。
 「夏まで時間がない」として、家庭用エアコン設置業務の委託業者は入札で選ばず、業務用エアコンの電気工事を請け負った12社と随意契約する。エアコン本体や仮設発電機の調達は業者に事実上、丸投げする。
 51校では業務用エアコンの設置工事が同時並行で進む。家庭用は一部の学校を除き、工事が終わる9月下旬までに取り外し、小学校の図書室や市民センターなどに再配備する。「全800台を有効活用する」(渡辺課長)方針だが、詳細は決まっていない。
 ベテラン市議は「3億円を投じるのに進め方がずさん。不可解な点も数多い。児童に真夏の授業を強いる以上、工期や予算は言い訳にならない」と指摘する。


2020年06月14日日曜日


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