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「ホームの母に会いたい」 介護施設の面会制限続く 運営者、対応に苦慮

ガラス越しの面会を行うため、新たに整備したインターホンで対応する施設の職員(左)

 「認知症グループホームで暮らす80代の母に会いたい。緊急事態宣言が解除されたが、いつになったら面会できるのか」。仙台市太白区の50代女性から「読者とともに 特別報道室」に悲痛な声が寄せられた。新型コロナウイルス感染症から利用者を守るため、面会の原則禁止を続ける介護施設は多い。取材を進めると、家族側のストレスが高まるだけではなく、施設側も対応に苦慮する実情が浮き彫りになった。
 「介護施設の面会は緊急やむを得ない場合を除き、可能な限り制限することが望ましい」。新型コロナが広がる前の2月下旬、厚生労働省は都道府県などに通知した。
 新型コロナ特別措置法による緊急事態宣言が5月25日に全面解除されてからも、面会の可否は各施設の判断に委ねられている。宮城県老人福祉施設協議会などによると、グループホームや特別養護老人ホームといった多くの介護施設が面会制限を継続しているという。
 女性は母親とほぼ毎日会っていたが、現在会えるのは月1回の通院の付き添いしかない。5月中旬に顔を合わせた際には、以前より歩行が困難になった姿を見て涙があふれた。
 「感染の第2波が来る前に会わないと、ずっと会えないような気がする。仕事を辞めて一緒に暮らした方がいいのか」。女性は思い詰めている。
 全国でクラスター(感染者集団)が発生し、各施設は警戒姿勢を崩さない。写真付きの手紙を送ったり、窓越しの面会をしたりして意思疎通の工夫を凝らす。
 厚労省は5月中旬、テレビ電話などを使ったオンライン面会の推奨を通知し、県内でも導入例がある。
 県認知症グループホーム協議会の内海裕会長は「電話では会話が成り立たないケースもあり、会わせたい気持ちはある」と家族の心情に理解を示す一方、「命を預かる以上、慎重にならなくてはならない。どの施設も難しい判断を迫られている」と苦悩を代弁する。
 宣言の全面解除を受け、全国老人福祉施設協議会は5月29日、面会の段階的緩和を盛り込んだ指針をまとめた。宣言の解除が先行した宮城など34県は、感染リスクを見極めた上で、検温などの条件を満たせば面会が可能とした。
 仙台市若林区の特養施設は今月1日、時間や人数といった条件付きで面会を再開した。「命はもちろん大事だが、普通の生活も徐々に取り戻したい」と話す運営者。「いつかは決断しなければいけない。同調圧力に一石を投じたかった」と明かした。


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2020年06月17日水曜日


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