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宮城の旅館、再始動 「新しい接客」手探り

フェースシールドを着用し、アクリル板を設置したカウンターで接客する従業員=仙台市太白区秋保町のホテル佐勘
6月中のバイキング方式の食事を中止し、お膳に切り替えたホテルの従業員=大崎市鳴子温泉の鳴子ホテル

 新型コロナウイルスの感染拡大で続いていた都道府県境をまたぐ移動の自粛が19日、東京など5都道県を含め全面的に解除された。長引く外出自粛で打撃を受ける観光業にとって大きな一歩。営業を再開した宮城県内の旅館では、感染の第2波、第3波を警戒しつつ客を迎え入れる新たな営業スタイルを模索する。
 仙台市太白区秋保温泉のホテル佐勘は19日、4月13日から2カ月余りの休業を経て再開。待ちわびた県内外からの宿泊客約200人を迎えた。
 家族3人で訪れた泉区の主婦針生よし江さん(77)は「いつ再開するかと待っていた」とにっこり。埼玉県の会社員伊東徳朗さん(68)は「今日は妻の誕生日のお祝い。ゆっくり温泉に入りたい」と話した。
 「再開準備の間は不安が大きかったが、お客さまの顔を見てほっとした」。接客などを統括するホテルワークグループの中川亮介さん(45)は笑顔を見せる。
 入り口には体温を測定するサーモグラフィーを設置。フロントのスタッフらはフェースシールドを着けた。荷物は宿泊客自身に部屋まで運んでもらい、食事を部屋に運び込む回数も減らすなど、一部サービスを見直した。
 館内施設の一部休業や予約状況を踏まえ、自宅待機を続けるスタッフもいる。中川さんは「『3密』を避ける対策に前向きに取り組み、多くのお客さまを全スタッフで迎えられるようにしたい」と述べた。
 同じ秋保温泉で4月12日から休業していた緑水亭も、日帰り入浴や宿泊の受け入れを再開した。「まだ利用は少ないが、駐車場に車が並ぶのを見るのはうれしい」と若おかみの高橋知子さん(44)は言う。
 秋以降の団体客らのキャンセルはまだ続く。「まず夏を乗り切れるかどうか。雇用を維持し、稼いでいかなくてはいけない」。消毒の徹底などで安心安全を感じてもらえるサービスを発信するつもりだ。
 大崎市鳴子温泉の鳴子ホテルは、今月3日に1カ月半ぶりに営業を再開したが、宿泊客は例年の4分の1ほどにとどまる。「採算を取るのは厳しいが、閉めていても固定費がかかる」。おかみの高橋弘美さん(61)は苦悩する。
 6月中はバイキング形式の食事提供をやめ、社員はマスクと手袋を着けて接客するなど、感染予防に気を配る。最大400人弱入る客数も、上限を250人に絞った。手探りの営業の中で、売り上げよりも安心感を優先した。「鳴子に人が一番集まる紅葉シーズンまでに回復してほしい」。祈るように語る。


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2020年06月20日土曜日


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