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返礼品は割安宿泊券 亘理・老舗旅館7代目がCF開始

中正旅館の前に立つ菊地さん。CFで運営資金を募っている

 1872(明治5)年に創業した宮城県亘理町中町東の「中正(なかしょう)旅館」がインターネットのクラウドファンディング(CF)で運営資金を募っている。新型コロナウイルスの影響で利用客が激減し、経営は厳しさを増す。「150年の歴史がある宿を途絶えさせたくない」と協力を呼び掛ける。

 同旅館は宴会場のある客室13室の本館とビジネス利用の12室の別館からなり、JR常磐線亘理駅の東約450メートルの町中心部に位置する。地元の荒浜漁港の鮮魚を使った質も量も楽しめる食事が売りだ。
 感染症拡大に伴い、2月半ばからキャンセルが相次いだ。全国大会に出場予定だった高校生約40人の連泊や住民約80人の会食など約130件が取り消された。4月上旬から1カ月間、営業を自粛した。
 1400万円以上の損害が出る一方、冷凍庫のリース代や光熱費など毎月約200万円の固定費が重くのしかかる。国の各種制度を申し込んでいるが、十分ではないという。
 CFを発案したのは7代目で跡継ぎ修業中の菊地正豊さん(27)。大学卒業後、神奈川県の旅館で修業し、昨年10月に戻った。ホームページを一新し、ネット予約システムも構築。「さあ、これからという矢先だった」と嘆く。
 学生時代に東日本大震災が発生。創業時に建てられた旧本館が全壊したが、旅館は復興事業やボランティアの拠点となり、にぎわった。「この宿があって助かった」と感謝の言葉を掛けられ、初めて跡を継ぐ覚悟ができた。
 CFの返礼品として割安の未来の宿泊券や食事券を用意した。有効期限は「当館が営業している限り」。菊地さんは「コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ海も山もある亘理に遊びに来てほしい。将来の客がいると思うと踏ん張れる」と語る。
 目標額は500万円。期間は7月29日まで。復興支援に来たNPO関係者や震災後に県内を訪れた旅行者などから支援が寄せられているという。CF専用サイト「CAMPFIRE(キャンプファイアー)」で申し込める。


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2020年06月20日土曜日


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