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思い出の校舎に別れ 岩手・大槌の放課後学校が移転・解体

被災地の教育を支えてきた大槌臨学舎の仮設校舎

 東日本大震災で被災した子どもの学習支援を行う岩手県大槌町の放課後学校「大槌臨学舎」が、活動拠点を同町の大槌高校舎に移した。約7年間、被災地の子の学びや遊びの場となってきた仮設校舎は年度内に解体される予定だ。
 臨学舎は2011年12月、NPO法人カタリバ(東京)が被災地の教育を長期的に支援し、復興を担う未来の人材を育てようと開設した。「コラボ・スクール」とも称する。当初は集会所や寺を拠点にしていたが、13年8月からは専用の仮設校舎で学習指導や心のケアを行ってきた。
 大槌町は津波で壊滅的な被害を受け、人口の8%に当たる1286人が犠牲となった。狭い仮設住宅での避難生活や復興工事で子どもの活動が制限される中、臨学舎が居場所の役目を果たしてきた。
 これまで約700人が在籍。最多の17年度は小中高合わせて226人が通学した。現在は中高生が対象で本年度は約150人が利用する見込み。運営は町からの委託費3268万円と寄付で賄う。
 仮設校舎の設置当時、周辺には仮設住宅団地が多く立地し、仮設の小中学校もあった。その後、町内の仮設住宅は全て解消され、小中学校も約2キロ離れた本設の校舎に移転した。応急仮設建築物の使用期限が来年3月ということもあり、カタリバは移転を検討していた。
 新拠点は大槌高の2教室を使用する。隣接地には震災後に開校した小中一貫の義務教育学校大槌学園がある。臨学舎拠点長の渡辺洸さん(36)は「通学の利便性が向上し、学校と連携しやすくなった」と歓迎する。
 復興の進展で町内の生活環境は変化した。渡辺さんは「子どもの夢を育てるには斜めの関係で助言できる大人が必要。都市との教育格差という震災前からの課題もある」と学習支援の意義を強調する。
 さまざまな企業や団体の支援で建築した仮設校舎は撤去する。新型コロナウイルスの流行収束後にお別れ会を開催する考えだ。
 小3から通った大槌学園9年生の川端洸翔(らいと)さん(14)は「少し前まではみんなで集まれる場所は臨学舎ぐらいしかなかった。勉強や対話、行事を通して大きく成長できたと思う。仮設校舎がなくなるのは寂しいけれど、新しい環境での変化が楽しみ」と話す。
 24日に新拠点で開所式が開催される。


2020年06月24日水曜日


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