
ホヤ宮城の全海域で出荷再開 1ヵ月半ぶり規制解除、供給過多で様子見も
宮城県石巻市雄勝町の雄勝湾で1日、養殖マボヤの水揚げが再開した。まひ性貝毒が3週連続で国の規制値を下回り、市を含む旧中部3海域で6月30日、約1カ月半ぶりに出荷の自主規制が解除された。宮城県内全ての海域で出荷が可能になったが、水揚げ時期が集中して供給過多となり、断念する漁業者もいた。
同市の水産加工会社「丸多喜水産」は1日早朝、雄勝町水浜地区で漁業者3人が水揚げした約1.1トンのホヤを仕入れ、港からトラックで運び出した。
担当者は「ようやく石巻地域のホヤが揚がった。身の厚みも十分で申し分ない」と期待する。殻付きで箱詰めする活ホヤや、蒸しほやにして出荷する。
一方、雄勝町のある漁師は取引先と調整できず、水揚げを諦めた。先行して6月25日に出荷が再開した旧北部海域のホヤが出回った影響もあり「同時期に一斉に水揚げする格好になり、出荷先がない」と複雑な表情を浮かべる。ホヤの旬は7月までとされており「少しでも水揚げできるよう交渉したい」と話した。
雄勝湾と追波湾、女川湾・牡鹿半島東部の旧中部海域では5月18日、国の規制値を超えるまひ性貝毒が検出され、出荷自主規制が続いてきた。ホヤの規制値超えは県の記録の残る1992年以降初めて。
県漁協の要望を受けて県は6月24日、三つだった監視海域のうち北部を4海域、中部を3海域に細分化し、南部を合わせた8海域に再編した。検査体制の強化と出荷規制のリスク分散を図る。
2020年07月02日木曜日