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国立天文台水沢観測所に追加予算 電波望遠鏡の運転継続へ

予算の追加配分について語る本間所長

 岩手県奥州市の国立天文台水沢VLBI観測所の本年度予算が半減された問題で、同観測所は1日、予算が追加配分され、運用する国内4台のVERA電波望遠鏡の運転継続が決まったと公表した。
 本間希樹所長によると、研究テーマを銀河系の立体地図を作るプロジェクトから、ブラックホール関連などに変更して折衝。国立天文台の「リーダーシップ経費」枠内で認められた。追加規模は数千万円で、7月から止まるとみられた鹿児島県薩摩川内市、東京都小笠原村、沖縄県石垣市の3台のVERA望遠鏡の維持費も確保できた。
 VERA観測網は水沢を含めた4台の望遠鏡を組み合わせ、直径2300キロの望遠鏡に匹敵する観測能力を持つ。昨年のブラックホール輪郭撮影にも間接的に貢献した。水沢観測所は3月に予算半減の通知を受け、運用停止が避けられないと窮状を訴えていた。

 国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長は1日、河北新報社などの取材に応じ、予算を巡る経緯や見通しを語った。

 −追加配分が決まった。
 「4台の望遠鏡を維持する最低限の予算を認めていただいた。ただあくまで本年度分。2021年度以降は見通せない」

 −予算を巡り混乱した。
 「新しい望遠鏡を作るため、既存の研究費がある程度削減されるのは組織人として分かる。ただ予算をゼロにするのは全く違う。まだ使える望遠鏡を有効活用して成果を上げようというのが僕らのスタンス」

 −国立天文台の予算決定が執行部のトップダウンになった弊害との声もある。
 「あつれきを生んだのは事実。今回の騒動をきっかけに元天文台長らが第三者委員会をつくり、天文台執行部と研究者らとのコミュニケーションを改善しようとする動きがある。良い方向に向かってほしい」

 −今後のVERA観測網について考えは。
 「まずは21年度の予算を確保すること。22年度に始まる自然科学研究機構の中期計画(6年)でもアジアと協力した観測網と位置付け、継続したい」

 −奥州市ではVERA継続の署名運動も起きた。
 「非常に追い風になった。地域との絆を再確認した。感謝しかない」


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2020年07月02日木曜日


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