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盛岡城の石垣修復着手できず 相次ぐ入札不調で計画見直しも

修復が進まず、飛散防止の土のうが積まれた盛岡城北西部の石垣(盛岡市提供)

 盛岡市の国指定史跡「盛岡城跡公園」の石垣修復工事で入札の不調や不落が相次ぎ、着手できない状況が続いている。市は予定価格の超過と、工事を請け負える技術者の不足を理由に挙げる。基本計画で定めた修復期限が迫っており、市は計画の見直しを迫られそうだ。
(盛岡総局・坂本光)

 工事が未着手なのは公園北西部にある高さ約8メートル、幅約30メートルの「三ノ丸石垣」で、修復範囲は約200平方メートル。構成する石のずれが修復の基準とされる10ミリを超えているほか、石垣面が標準より最大約70センチせり出している場所もある。現在は飛散防止のため、土のうで保護されている。
 市は2013年3月、史跡盛岡城跡整備基本計画を策定。22年度までに三ノ丸石垣を修復すると定め、18年から修復工事を繰り返し入札にかけてきた。
 だが、20年5月までに実施した7件の入札のうち、実際に業者に発注できたのは1件のみ。その工事内容は周辺整備だったため、いまだ石垣の修復には着手できていない。市によると、予定価格超過の背景には、石垣を修復できる石工や史跡内での工事経験がある業者の少なさがあるという。
 修復工事は石垣を一度全て解体し、ずれを修正した上で築城当時の勾配になるように積み直す。石一つ一つが文化財のため、破損などの失敗は許されない。
 市は19年7月から施工経験がある業者を対象にした指名競争入札に切り替えたが、市と業者の間で予算が折り合わなかった。市公園みどり課の佐々木亮二文化財主査は「全国で石垣工事が進む中、技術者の確保が難しく、費用もかかるのではないか」と分析する。
 石垣の修復工事は整備基本計画の核。着手できない以上、計画の見直しは必至だ。富樫正幸課長は「盛岡城の石垣は全国的にも貴重な遺産だ。安全性を確保しつつ早く修復を進められるよう努めたい」と話した。

[盛岡城跡公園]盛岡城は1633年に完成。盛岡藩の初代藩主南部信直が嫡子の利直に築城を命じた。戊辰戦争後、城内の建物が壊されて荒廃したが、1906年に「岩手公園」として整備。37年、国史跡に指定された。2006年、開園100周年を記念して名称を変更した。城内と周辺で産出した花こう岩を使った雄大な石垣が特徴。


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2020年06月30日火曜日


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