宮城のニュース

<NPOの杜>オンラインで自由創作 NPO法人エイブル・アート・ジャパン

Zoomで紹介された、「アトリエつくるて」の参加者がマリンバやピアノの演奏を聴いて創作した作品
Zoomで作品を見る会を進めるファシリテーター

 文化芸術分野にも打撃を与えた新型コロナウイルス。障害のある人らのアート活動を支援するNPO法人エイブル・アート・ジャパンにも深刻な事態をもたらしました。
 エイブル・アート・ジャパンは美術家や福祉施設の職員、企業の人たちが1994年に東京で設立。障害や生きにくさを抱える人の表現の機会や仕組みを作り、作品を発表・販売する環境を整えながら、社会参加を支援してきました。東日本大震災の発生を機に宮城県にも拠点を構えました。
 東京オリンピック・パラリンピックを目前にし、活動振興の機運が高まっていた直後、新型コロナウイルス感染症が発生。学校は休校、外出もままならないような状態で、エイブル・アート・ジャパンも多くの事業中止の壁にぶつかりました。
 しかし、立ち止まっているわけにはいきません。まず創作活動に参加していた人たちの状況を知ろうと、4月上旬に障害児者やその家族、福祉施設の支援者にアンケートやヒアリングを実施しました。
 その結果、感染症の知識を正しく理解し予防することが困難な障害児者の多くが、在宅で過ごしていることが分かりました。そのため、他者との接触や社会的なつながりが失われ、本人や家族、支援者にも相当なストレスがかかっていることが明らかになりました。また在宅障害者の孤立も浮き彫りになったのです。
 そこで、「オンライン・アトリエ」に挑戦。障害の有無にかかわらず誰でも参加できる仙台市文化プログラムの一環の「アトリエつくるて」では、同じ空間で「つくる時間」と「見る時間」を過ごすというこれまでの枠組みは変えず、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を活用。音楽を聴いてイメージしたものを表現するというテーマで創作を始めました。
 Zoomを離れて集中して立体を作る人、画面越しにおしゃべりをしながら絵を描く人。進め方はさまざまでしたが、2日目の最後にはZoomで再集合し、作品を見せ合い、語り合うことができました。
 久々に顔を合わせた喜びを共有し、自宅で作りためてきた作品を紹介するなど、オンラインならではの手応えがありました。
 今後取り組むべき課題も見えました。参加したくとも、障害の特性や生活環境の違いから通信環境を整えられない人もいるのです。
 代表理事の柴崎由美子さんは「コロナ禍の収束が見えず、新しい生活様式が求められる今、社会とのつながりが失われることがないよう、オンラインで集う方法も確保しておく必要があることが明らかになった」と話します。
 ウィズコロナを見据え、エイブル・アート・ジャパンはつながりを切らない環境づくりを始めています。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 堀川晴代)


2020年07月06日月曜日


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