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親子で戦った最後の夏 高校野球宮城代替大会、監督とエース思い一つに

マウンドに向かう宮城工の田野頼人投手(左)と父の誠監督

 諦めかけていた最後の夏を、親子で共に戦った。宮城県内で11日に開幕した東北地区高校野球宮城大会で、宮城工は田野誠監督(49)と次男で主戦の頼人(らいと)投手(17)が初戦に臨んだ。「野球をできることがありがたい」。思いを一つに白球を追える喜びをかみしめた。
 大崎市の鹿島台中央野球場であった富谷との1回戦。先発を任された頼人さんは四回につかまって失点を重ねる。試合はコールド負け。相手校の校歌を悔しそうな表情で聞いた。
 親と子の間に、監督とエースという関係が加わったのは昨秋のことだ。
 誠さんは宮城県内各校で監督を歴任してきた。名取北時代は、東北楽天の岸孝之投手(35)を指導したこともある。2018年に宮城工に赴任。当初は部長だったが、現在のチームの始動と同時に監督に就いた。
 「いつか一緒に野球をしたい」。新チームで背番号1を背負った頼人さんのひそかな思いが現実となった。秋の県大会は1回戦で敗れたものの、手応えがあった。「夏こそは」。そんな夢を新型コロナウイルスが壊した。
 学校は休校となり、春の県大会も中止に。「夏は無理かな」。誠さんの心をよぎったが、頼人さんのことを考えれば口に出すことはできない。そっと胸にしまい込んでいた。
 今大会は中止となった夏の宮城大会の代わりに開催されている。「目標を失いかけていたから、試合ができるだけでうれしい」。頼人さんは3年間の思いを一球に込めた。「でも悔しい。自分の投球が情けない」。勝負できたからこその感情も自然と湧き上がった。
 誠さんは顔色を変えることなく、じっとベンチから投球を見守った。「最後まで野球ができないままにならず良かった」。試合後の和らいだ表情は、間違いなく父親としてのものだった。


2020年07月12日日曜日


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