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仙台市、感染者情報の非公表増える 「本人意向」と詳細語らず

記者会見で感染者を発表する市保健所の担当者。詳細な情報を公開しないケースが増えている=18日、仙台市役所

 仙台市が新型コロナウイルス感染者の詳しい情報を公表しないケースが増えている。居住する区や勤務先は以前から原則非公表だが、最近は「本人の意向」で仕事内容、感染した店舗名、通う学校の種別、濃厚接触者との関係も明らかにしない。過度に情報を隠すと臆測が広がると指摘する声もあるが、感染者への誹謗(ひぼう)中傷は後を絶たず、市は対応に苦慮する。(報道部・伊藤卓哉)
 「職業は学生。これ以上は詳細を差し控えたい。大学生か専門学校生かも言えない」「濃厚接触者との関係は患者本人から公表の承諾が得られていない。申し上げることはできない」
 市保健所が15日に開いた感染者発表の記者会見。感染拡大の可能性を探るため、患者の属性や濃厚接触の詳細を尋ねる記者に担当者は「非公表」を貫いた。
 感染者が発生すると、各区保健福祉センターは患者の職業や家族構成、発症2日前からの行動歴を詳細に聞き取り、濃厚接触者を特定する。情報公開の意向も確認するが、最近は公表を望まないケースが目立つ。
 市は不特定多数との濃厚接触が疑われる場合は、公表に踏み切ることもあり得るとするが、それ以外は患者の意向に沿う。公共交通機関を利用していても、マスク着用で濃厚接触に該当しなければ公表はしない。
 保健所の担当者は非公表が増える背景に関し「会員制交流サイト(SNS)で感染者を特定する動きがあり、不安があるのだろう」と推測する。誹謗中傷されることを懸念し「保健所にも詳細を語らない感染者が少なくない」と明かす。
 市内の接待を伴う飲食店に出入りした男女5人の感染が判明し、16日にクラスター(感染者集団)と認定されたケースで、市は店舗名を伏せた。保健所は「伝票と来店者名簿で濃厚接触者を全員把握した。感染拡大の恐れはない」とした。
 6月下旬、別の飲食店を訪れた男女4人が感染したケースは、店舗名も業態も明らかにしなかった。郡和子市長は予約制で来店者を全員把握できたとし「濃厚接触者からしっかり話が聞ける環境づくりが重要」と理由を説明した。
 ただ「飲食店」の範囲は幅広い。業態を明示しないことで多くの店舗が客足への影響を受ける。「情報を伏せると根拠のない臆測が広がる」「安心させたいのか、不安にさせたいのかよく分からない」。こうしたインターネット上などの多様な意見を受け、市は宮城県と協議して店舗名公表の基準作りを検討する。
 市保健所の松田敏明参事は「安心につながる情報は当然公表したいが、プライバシー保護も尊重しなければならない。患者との信頼関係が崩れれば行動歴の調査などに影響し、感染を止められない事態にもなりかねない」と理解を求める。


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2020年07月19日日曜日


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