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<Eパーソン>加速と低燃費を両立

谷口容司(たにぐち・ようじ) 名城大卒。1993年関東自動車工業(現トヨタ自動車東日本)入社。衝突安全実験室長、室内安全実験室長などを経て2019年1月から現職。49歳。岐阜県出身。

◎トヨタ自動車東日本 谷口容司 プロジェクトA開発チーフ・スタッフ

 トヨタ自動車の新型の小型車「ヤリス」は、4、5月の車名別国内新車販売数(軽自動車を除く)で首位となった。2月発売にもかかわらず、上半期に約4万8000台を売り上げて全体4位につける。製造を担うのはトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)の岩手工場(岩手県金ケ崎町)。同社の谷口容司プロジェクトA開発チーフ・スタッフに開発の背景を聞き、好調の要因を探った。
(聞き手は高橋公彦)

 −開発のコンセプトは。
 「扱いやすいサイズながらも運転が楽しく、従来の小型車の価値観を変える車。きびきびしたハンドリングと上質な乗り心地、ダイレクトな加速と燃費の良さをそれぞれ両立させ、クラスを超えた車になった」

 −安全装備が充実した。
 「上級車に付く装備を積極搭載した。大きい車は上質で、小さい車はチープというヒエラルキー(階層意識)を壊したかった。トヨタ初の技術も複数採用した。市場の縮小や車離れといった危機感が意識を変えた」

 −苦労した点は。
 「気持ちの良い加速にはパワーが必要で、ガソリンや電力を消費する。エンジンの燃焼効率を上げたり、モーターを小型化しつつ出力を約15%向上させたりして対応した。軽量化にも取り組み、世界最高水準の低燃費を実現した」

 −開発や生産の新手法「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の小型車向けプラットホーム(車台)「GA−B」を初採用した。
 「車の重心を下げ、運転しやすい低い姿勢を保つために採用した。従来よりハンドルが操作しやすくなる上、低重心で走行安定性の向上にもつながる」
 「良い車を求めやすい価格で提供しようとすると、根本から変える必要があった。高性能な装備も搭載して本来なら価格が上がるが、製造工程の省人化や他車種との部品共通化にも取り組んでコストを削減。小型車の価格帯に収めた」

 −ホンダの小型車「フィット」は、上半期にヤリスより約2000台多く販売されて全体3位。比較されるのをどう考える。
 「発売時期やサイズはほぼ同じだが、方向性は全く違う。ヤリスは走りに楽しさを求める人、フィットは後部座席などの居住性を求める人が買うだろう。性能には自信がある。ニーズに合わせて選んでほしい」


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2020年07月23日木曜日


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