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かすむ復興五輪 被災3県、コロナ禍での盛り上げに苦心

都市ボランティアの参加に限られた宮城県の1年前イベント。熱狂はなく、静寂の中で行われた=23日、同県利府町の宮城スタジアム

 東京五輪・パラリンピックの開幕が1年を切る中、東日本大震災の被災3県で本番に向けた準備が進まない。競技会場の宮城、福島両県は新型コロナウイルス禍での盛り上げに苦心。簡素化が決まった聖火リレーは、大会組織委員会から詳細が示されず、各県は沿道の警備体制や感染対策を決められないままでいる。

 マスク姿の約140人が検温を受け、一定の距離を保ち、張り替えられた芝生の感触を確かめた。
 サッカー会場の宮城スタジアム(宮城県利府町)で23日あった1年前イベントは、五輪観戦客に観光案内などを行う「都市ボランティア」が参加するだけの、ささやかな企画になった。宮城県五輪・パラリンピック大会推進課は「新型コロナに加え、自然災害も相次いでいる。さあ本番、という雰囲気にはならない」と明かす。
 新型コロナの感染拡大は、各県に五輪関連行事の見直しを迫る。「3密」を避けるため、県民を巻き込むような大規模なイベントにはできず、誘致で掲げられた「復興五輪」を再認識させる機会は減った。

◎2億5000万円が泡

 聖火リレーの運営も悩みの種。原則は各都道府県2日間の日程が、被災3県と複数会場がある計7県に限り、3日間が割り当てられた。
 出発地の福島県は、当初3月26〜28日の予定だったが、2日前に中止が決まった。県が準備した看板、警備員の人件費約2億5000万円が泡と消えた。
 本年度一般会計当初予算に計上した五輪関連費約6億円には、来年のリレー経費約3億円が含まれていない。県は国費での予算化を要望するが、認められなければ、自前で確保する必要がある。福島県五輪・パラリンピック推進室は「必要経費は減らせない。節目に行うイベントを減らすなどして、捻出する可能性もある」と苦慮する。
 大会組織委は沿道のコロナ感染対策も求めるが、人数制限といった具体的基準は示されておらず、各県の対応は足踏みする。

◎「開催を前提に」

 全33市町村のうち、28市町村を巡る岩手県のリレー経費約2億4000万円に、感染対策費は含まれていない。岩手県五輪・パラリンピック推進室の粒来幸次特命課長は「どの程度の対策を求めてくるのか、見当がつかない」と早期の基準決定を求める。
 詳細な実施計画が不明なまま、宮城県は日程やルートの変更などを視野に入れた検討を始めた。担当者は「(沿道の観客に)検温をするとなれば、必要な人数は大幅に変わる」と不安を募らせる。
 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は収束の気配すら見えず、五輪の延期や開催中止を求める声は日増しに高まる。宮城県の大山明美五輪・パラリンピック推進局長は「先行きは見えないが、県としては大会が開かれることを前提に準備を進めるしかない」と話す。


2020年07月24日金曜日


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