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「炉ばた」の灯消さない 閉店した名店が来月再開 東京の実業家、店名継承

閉店した「炉ばた」の店内で談笑する吉田さん(左)と加藤さん夫妻=21日、仙台市青葉区国分町

 新型コロナウイルスの流行で客足が途絶え、6月末に創業70年の歴史に幕を下ろした仙台市青葉区国分町の「郷土酒亭 元祖炉ばた」が、8月1日に再開することになった。東京都内で飲食店などを経営するベンチャー企業「絶好調」(新宿区)代表の吉田将紀さん(44)が継承を申し出て、今月21日に店の賃貸契約を結んだ。

 都内で飲食店計11店舗を経営する吉田さんは、十数年来「元祖炉ばた」に通い続けた。2015年、西新宿に炉端料理店「燗(かん)アガリ」を開く際には、店主がいろりの前に座り、常連客と会話に花を咲かせる雰囲気づくりなどを参考にしたという。
 閉店の知らせを受け、6月中旬に同店を訪れた吉田さんは、おかみの加藤和子さん(71)からカウンター越しに「吉田さん、お店継がない?」と言われた。コロナ禍でグループ店はいずれも客足が落ち、洋食店1店舗が閉店に追い込まれる苦境にあったが、「炉端形式の発祥とされる名店がなくなるのは忍びない、なくしてはいけないという思いが勝った」と吉田さん。和子さんに継承する意思を伝えた。
 再開する店は閉店時の状態を尊重する。いろりを囲む17席と小上がりがある約70平方メートルの店内、素朴な民具が飾られた古民家風のたたずまい、店名も維持し、スタッフ3人で営業を始める。くしくも8月1日は親方の加藤潔さん(77)、和子さん夫妻が先代から36年前に店を譲り受けた日だ。
 「元祖炉ばた」は、戦前から地場文化の発展に尽力した天江富弥(1899〜1984年)が1950年に開店した。天江は仙台にあった蔵元「天賞酒造」の三男で、大正期に詩人スズキヘキらと日本最初の童謡専門誌「おてんとさん」を創刊し、児童文化運動を主導した。
 現在の店は加藤さん夫妻が92年に移転し、先代からの縁が深い多くの文化人らが集った。夫妻は「吉田さんの人柄と実業家としての実績を見込んで頼んだ。店が残ってくれて本当にありがたい」と口をそろえる。
 吉田さんは「名店を引き継ぐ責任を感じる。たくさんの歴史や思い出を大切に、多くの人がくつろぐことができる店づくりに努めたい」と意気込む。
 店の連絡先は022(266)0897。


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2020年07月24日金曜日


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