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山形・最上川4カ所で氾濫 88棟浸水、2438人避難 住民ぼうぜん

最上川の橋の下には「朝日丸」と書かれた船の一部が引っ掛かっていた=29日午前9時40分ごろ、山形県大江町

 梅雨前線や低気圧の影響で記録的な豪雨に見舞われた山形県内で、28日から29日午前にかけ最上川が4カ所で氾濫した。県によると、住宅の浸水被害が12市町村の88棟に上るほか、土砂流出で孤立した集落がある。山形地方気象台は引き続き洪水や土砂崩れなどへの警戒を呼び掛けている。
 県のまとめでは、31市町村に避難所180カ所が開設され、29日午前8時半時点で11市町村の計2438人が避難している。31市町村は災害救助法の適用を受ける。
 住宅は大江町の13棟など6市町村で計24棟が床上浸水し、大江、白鷹両町の各16棟など11市町村で計64棟が床下浸水した。
 大石田町によると、町内で午前9時現在、床上浸水41棟、床下浸水75棟がある。
 道路が土砂で埋まり大蔵村肘折地区など5市町村で300世帯、900人以上が一時孤立した。肘折地区などは孤立が解消され、29日中に全ての地区で解消する見通し。
 土砂流出や冠水などで、東北中央自動車道の東根−東根北インターチェンジ(IC)下り線、大石田村山−尾花沢IC上下線、尾花沢市内の国道13号、新庄市、戸沢村内の47号、南陽市内の113号の一部区間で通行止めとなった。
 山形地方気象台によると72時間降水量が午前11時半時点で、鶴岡市荒沢で267ミリと7月の観測史上最大を観測、西川町で249ミリを記録した。
 大江町の避難所になった大江町民ふれあい会館では、住民約80人が不安な一夜を過ごした。自宅1階が床上浸水した同町左沢の自営業阿部正さん(60)は1967年の羽越水害を経験。「100年に1度と言われた水害をまた経験するとは」と嘆息を漏らした。
 避難所では検温や避難者分散など新型コロナウイルス感染防止策が取られた。運営に当たる伊藤修町健康福祉課長は「避難者のほとんどは高齢者。健康面も気掛かりだ」と懸念した。


◎濁流、住宅地のむ マスク姿の住民「こんなに水があふれたのは初めて」

 大雨から一夜明けた29日、山形県内では氾濫した最上川沿いの市町村を濁流が襲い、次々と住宅への浸水被害が明らかになった。避難所では、新型コロナウイルス感染対策でマスクを着けた住民が疲労感をにじませ、隣の人と距離を取っていた。
 大蔵村では北部を流れる最上川に加え、支流の銅山川も氾濫。道路沿いの土砂崩れも発生し、肘折地区など2カ所で住民500人以上が孤立した。自営業羽賀敏さん(75)は、自宅の目の前まで水が押し寄せたといい、「こんなに水があふれたのは生まれて初めて。雨は強くなかったので驚いた」と話した。
 北隣の戸沢村を車で通り掛かった土木建築会社役員柴田清広さん(58)=金山町=によると、同村では29日午前9時までに、国道47号沿いのJR陸羽西線古口駅近くの田んぼはほぼ冠水。草薙温泉周辺は川岸の歩道のすぐそばまで濁流が迫った。黄土色に濁った川面に白い物置小屋が浮かんでは沈みながら流れていった。
 最上川が南北に縦断する大石田町でも一部の住宅が1.5メートルほど浸水、消防などが懸命に排水作業を続けた。避難所で一夜を明かした伊藤洋一さん(67)は自宅が水に漬かった。「中に入れないのでどうしようもない」とぼうぜんと立ち尽くした。町総務課は「複数の浸水被害は出ているが詳細は確認中で、まだ分からない」と対応に追われた。

最上川が氾濫し、浸水した山形県大石田町の住宅地=29日午前8時35分ごろ

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2020年07月29日水曜日


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