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高知名物「皿鉢料理」生き残り模索 コロナ下、大皿NGで新様式試行錯誤

サバの姿ずし、カニなどを豪快に盛り付けた皿鉢料理。皿鉢は大きい物で直径60センチもある
小皿に盛った「皿鉢風」料理の試食会=高知市の城西館

 「このままでは皿鉢(さわち)料理の文化がなくなるのではないでしょうか?」。高知県西部で仕出し店を営む女性から、高知新聞(高知市)に心配する声が届いた。新型コロナウイルスの影響を受け、皿鉢料理の注文が減っているという。取材を進めると、県内の関係者たちが「土佐の食文化をなくすわけにはいかない」と「コロナ下の皿鉢」を模索していた。

 すし、エビフライ、焼き鳥からようかんまで、大皿にどーんと盛り付けた料理を分け合い、杯を交わす−。皿鉢は高知の宴席での定番スタイルだが…。
 無料通信アプリ「LINE(ライン)」で意見を寄せてくれた女性によると、皿鉢の注文が多い法事は「3密」を避けるため小規模になり、食事も弁当で対応。外出自粛のあおりで懇親会や歓送迎会もなくなっているという。
 県外観光客の利用も多い高知市の老舗店「土佐料理 司」。皿鉢はカツオのたたきと並ぶ店の売りだが、月平均100枚はあった注文が、今はほぼゼロ。そこで始めたのが皿鉢の県外発送だ。
 小分けにして冷凍した料理を送り、盛り付けも楽しんでもらう試み。伊藤範昭総調理長(55)は「生ものを入れられないのは残念だが、納得いくものができた」。担当者は「高知に来たいけど来られない人に食べてほしい」と売り込む。
 大人数の宴席を控える風潮がある中、高知県南国市の「岡林仕出し店」は4月、2人分の「ミニ皿鉢」を発売。大皿より一回り小さい直径30センチの使い捨て皿に、魚卵や貝、フライや巻きずしなど約20品がもりもりだ。
 皿鉢と言えば1万数千円が相場だが、ミニ皿鉢は3千円。「こんなに入っちゅうが?」と客も驚くお得感もあり、300枚近く売れたという。店主の岡林立身さん(47)は「店の名前を知ってもらって、次は普通の皿鉢を食べてほしい」と話した。
 店側は高知の皿鉢文化を残そうと懸命だが、政府の専門家会議は「新しい生活様式」でこんな実践例を示している。
 「大皿は避けて、料理は個々に」「多人数での会食は避けて」
 「皿鉢NG」を宣告するかのような文言。これでは、宴席が復活しても皿鉢の出番は少なくなる。
 高知市のホテル「城西館」で6月23日、浜田省司知事や県議ら100人が宴会を催した。座席の間を空け、献杯・返杯を自粛。「新しい生活様式」にのっとり、県民に「対策すれば大丈夫」とアピールするのが狙いだった。
 皿鉢料理の代わりに卓上に並んだのは、料理を小分けした小皿を大皿に載せた「皿鉢風」の料理。取りばしを使い回さないための工夫だという。
 藤本正孝社長(66)は「味気なさもある」としながらも「感染防止との折り合いを付け、皿鉢の原型をどう残すかを考えた」と強調する。
 皿鉢の「生き残り」へ、あの手この手の工夫は続く。ただ、コロナにかかわらず県民が皿鉢を食べる機会は減っているようだ。
 「司」の担当者は「(県内客で)皿鉢を注文するのは1割くらい」。仕出し店の岡林さんも「おやじの時代は毎日20枚、30枚と作りよった。今は宴会も減ったし、親戚が集まる機会も少ない」とため息をつく。
 県内の郷土料理を紹介した「土佐の味 ふるさとの台所」の復刊を手掛けた畠中智子さん(61)=高知市=は今も毎年、正月に皿鉢を手作りして家族で食べている。「皿鉢はもともと身内で食べるもの」として、こう提案する。
 「コロナで外食を控えるよう言われる今こそ、地元の私たちが皿鉢を食べ、その良さを見直す機会にすればいいのでは」
(高知新聞提供)

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[皿鉢料理]江戸時代からあるとされる土佐の名物料理。直径40センチほどの大皿にさまざまな料理を盛り付けた「組物(くみもの)」と、刺し身を盛り合わせた「生(なま)」が基本。皿の大きさや料理に厳密な定義はない。土佐料理研究家の故宮川逸雄さんは、著書で皿鉢が廃れない理由として、宴席で入り乱れて杯を差すのが好きな県民性や、参加人数が変わっても融通が利くことを挙げている。


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2020年08月11日火曜日


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